出版社内容情報
和算とはほとんど無縁だった江戸時代の庶民は意外にも見事な数処理技術をもち,数学と遊ぶ余裕すらあった.いったい彼らはどんな数学をどんなふうに学んでいたのか.今日のわれわれの生活にも深く根づく興味ある数学文化を紹介する.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
calaf
17
江戸時代の数学(?)というのは、正に実用数学だったらしい。もちろん、和算という研究対象となるものもあったものの、庶民にとっては足し算と引き算が中心。現在の日本人にとっては算数/数学は苦手科目の筆頭であるものの、そんな中にも実用数学では世界でも上位グループではないかというのが著者の主張。引き算をしてお釣りを渡したり、お釣りの硬貨枚数が少なくなるように支払ったりというのは、世界でも珍しい...言われればそうかも。2014/03/20
空
9
うーん、和算の魅力についてはあまり語られてなかったかなあ。江戸時代の和算家が風流ナルモノ、遊芸として身を滅ぼす事すらあったとあり、ビックリした。そんなに面白いものだったのねー。 そして武士にとって商人の技である数学を学ぶようなものは友人から絶縁されかねないと。日本人の数学嫌いは江戸時代からなのかなあ。2019/11/23
Ikue
4
面白かった。けれど、わがままを言ってしまえば思いっきり学術書で、少し単調にも感じた。2014/09/15
Don
1
天地明察でちょっと和算に興味をもったので,読もうかなと思っていた本をようやく読みました。 江戸の庶民の計算の力がなぜ高かったのかがよくわかりました。 「過ぎたるは猶及ばざるが如し」という考えをもっていたため,必要以上のことを学ぶことは少なかったようだが, 一つのことに専念して学んだからこそ,その事柄をより使いやすいように変化していったのでしょう。 明治の近代化の折に,そろばん以外の和算の要素は学校教育の場に入ることはなかったようですが,もし入っていたら何か変わっていたのだろうか?2013/08/18
KTakahashi
0
『天地明察』のあとに,再読した。渋川春海は和算だけでなく,囲碁も,神道も,多芸であった。それは,数学が武士の中では,低く見られていたからという風潮があったという。2012/10/01