出版社内容情報
時間はなぜ1方向にしか流れないのか.これが,ノーベル賞科学者プリゴジン自身の究極の問いである.80歳を超えてなお挑戦しつづけるプリゴジン.30年近く指導を受けてきた著者ならではの視点からその思想の根底に迫る.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちくわん
19
1999年4月の本。最近、どこかで生まれて初めてブリゴジン氏のお名前を知った。氏が学び、研究した「ブリュッセル自由大学」の感じがよい。氏の業績とは無関係だがベルギーはフランスとオランダに挟まれ、なかなか難しい国家運営をされているようだ。チョコレートとポアロくらいしかしらなかった。氏の名をどこで…気になる…しかし…思い出せない、お年頃。2020/12/10
calaf
10
相関ダイナミクスとか散逸構造とかいう言葉は知っていたものの、プリゴジンという人名は全く聞いた事がなかったような気が...(大汗) そうか、そうとう変な人だったのだなぁ...じゃなくて、独特な思考方法を持った偉い先生なのだなぁ...2014/07/03
Bevel
5
時間は、力学の世界では可逆なのに、確率の世界では不可逆になる。この不可逆性の出所はどこかというプリゴジンの問いがある。筆者によるとその答えは「(熱力学的な)系に本質的」ということで、なんとなくもやっとした。二つの世界を比較したところに時間の形で現れるこのような差異は、素直に考えれば、二つの世界を包括するまた別の世界を要請するように思う。現代の物理学の中で、この問いはどこに結び付いていこうとしているのかなと思った。2014/03/12
中性子星
2
エントロピー生成速度が系の非平衡度合いを決めており、生成速度があまりにも早いと、つまり非平衡度があまりにも高いすごい熱いのとすごい冷たいのを混ぜると、新しい散逸構造が生まれるらしく、それがまさに生命や、身の回りにある時間の経過とともに無くなっていくものであるという考え方。2016/11/12
PDCAサイクル
1
プリゴジンはニュートン力学における時間反転対称性とわれわれの悟性による時間感覚との矛盾が意味するものの解決を目指した.その解釈として粗視化などの恣意的な方法でなく,熱力学的系の性質が不可逆性の起源だととして結論づけた.さらに,不可逆過程における無秩序化のなかに,非平衡の度合いによって生じる散逸構造を見出した.若くから歴史,文学や芸術などを学んでおり,優れた思想家・科学者に共通する世界観をもった人間であることがわかった.2016/04/16