内容説明
近年、遺伝子やDNAに関するデータは飛躍的に増えたが、それだけで生命現象がわかったとは言えない。遺伝子はどのように情報を保持し、いかにして伝達して生命を作り上げているのか。情報量、エントロピーなどの情報理論を駆使して、DNAに刻まれた情報の意味や生命進化のプロセスを解明する。新たな生命像を描く意欲的な試み。
目次
第1章 生命と遺伝子(生命の誕生と遺伝子の位置づけ;DNAとは何か;タンパク質合成過程と遺伝暗号)
第2章 情報を科学する(科学を語ることと科学的であること;科学としての情報;情報とエントロピー;情報の伝送)
第3章 生物の系統関係を探る(DNAのGC含量;配列の整列化;配列における完全事象系と進化の尺度;進化の系統樹;実際のアミノ酸配列を用いた系統樹作成;HIVとその進化の系統)
第4章 DNAの符号構造を探る(符号理論;ガロア体とDNAの符号;生物の符号構造を調べる;病状の進行とHIVの符号構造の変化;DNAの情報論的取り扱いに思う)
第5章 生命現象の解明に向けて(情報力学とは何か;情報力学と生命科学)
著者等紹介
大矢雅則[オオヤマサノリ]
東京理科大学情報科学科教授、理工学部研究科長。1947年生まれ。東京大学理学部物理学科卒業、ロチェスター大学大学院修了(物理学専攻)。Ph.D.、理学博士。量子エントロピー、量子情報通信理論、量子アルゴリズム、情報遺伝学などを研究
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