出版社内容情報
近年,クレオール文化やクレオール語についての関心が高まっているが,はたしてクレオールの真の意味は理解されているのだろうか.クレオール諸語研究をふりかえり,クレオール語と日本語のかかわりを説く.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
22
ヨーロッパの制度に対する面従腹背と、その外部としてのクレオールを体系的に考えるというのは、アンビバレントです。本書では、ピジンが英語で、クレオールはフランス語やポルトガル語が起源だというような、厳密性を問うていません。他方、ピジン語を母語に持つ両親から生まれる、クレオール語を母語に持つ子供にとっては、言語の外部に出ることこそが、教育の檻から脱出する精神的な冒険の始まりなのです。そういった実存的な感覚は、現在はやや古いのかも知れませんが、著者はクレオールから展開して、方言もクレオールだと主張しています。これ2018/06/13
サアベドラ
2
一般向けのピジン・クレオール入門書、のようなもの。扱ってる内容は興味深いけど、著者の思想(反権威、反インテリ、反ヨーロッパ)があっちこっちに挟まってきてかなり邪魔。孤立語と膠着語はどっちがエライとかそういう嘘くさい話は心底どうでもいいし、いちいちエスペラントに絡めてのどーのこーのもそんなの知らんがなと言いたくなる。日本語との関連づけもうさんくさい。そういうの全部引っぺがしてピジンとクレオールの記述だけ抜き出したら全体の半分ぐらいの分量になりそうな、そんな本。2012/05/30
ヒロくん(脱脂)
0
先日読んだヴォネガットの小説に、どこぞのフランス語系のクレオール語には現在系しかない、とあり(結局書いた後に間違いに気付いたのか前書きで否定されてましたけど)興味を引かれて読みました。 セミナーの内容を文に起したものなので、話の内容がよく飛ぶんですが、それ故に退屈しにくく、クレオール語について分かりやすくまとまってて良かったです。欧州などの屈折語圏人ではどうしてもピジン・クレオールを対等の言語と見なし難い事、ピジン・クレオールに偏見を持ちにくい日本語人がクレオール研究することの意義など…かなり面白かった。2012/11/08
コシヒカリ
0
初心者向けの本、といったような感じで私にちょうど良かったです。前半部分にはピジンやクレオール語の大まかな歴史を書いているので、事前知識が何もなかったとしても読んでいくうちに置いていかれるような感じはあまり無いかと思います。2023/09/08
どうろじ
0
やわらかな文章から繰り出される包丁?のようにとがった主張が頭に残る。憧れる。2018/07/12