出版社内容情報
啓蒙によって文明を獲得し,野蛮を克服した人類は,しかし,啓蒙によって新しい野蛮状態へと落ちていく.理性の否定と理性によるユートピアの可能性とを交錯させながら近代を考え抜いた20世紀の古典.
内容説明
啓蒙によって文明を獲得し、野蛮を克服してきたはずの人類は、しかし、啓蒙によって新しい野蛮状態へと落ちこんでいく。この啓蒙の自己崩壊を仮借なく批判できるのは、理性の自己批判能力以外にない。理性の否定と理性によるユートピアとを微妙に交錯させながら近代を考えぬいたこの20世紀の古典は、人類史を貫く文明化の過程に垂直にくさびを打ちこんでいる。
目次
啓蒙の概念
補論(オデュッセウスあるいは神話と啓蒙;ジュリエットあるいは啓蒙と道徳)
文化産業―大衆欺瞞としての啓蒙
反ユダヤ主義の諸要素―啓蒙の限界
手記と草案