内容説明
小説を書き続けるためには、つねに街や自然の中に身を置き、雑音や野次、おかしな体験や、奇人変人といった異物を自分の思考回路に導入していかなければ、独自の遠近感を持った空間は生まれません。その方法を、最初にフーコー、つぎにニーチェ、三回目にドストエフスキーがたどった思考の軌跡に、検証してゆき、彼らに通底している部分を取り出しながら、著者の現在の小説観を表明します。
目次
1 肉体の言葉=言葉の肉体(触媒としての狂気;変身の系譜学)
2 円環の切断(陶酔と苦痛のグルメ;滅亡への意志;仮面の文体)
3 多神教的華やぎ(地下室人の論理;システムの破壊者;多神教のトポス)