出版社内容情報
「ある時のありのすさび(在りの遊び)もあはれなるもの思ひとはなりにけるかな」-移り変わる季節のなかで,小説以前の,書かれざる物語が浮かび上がる.うまさのなかにユーモアとペーソスがあふれる,待望のエッセイ集.
内容説明
小説家は、日々の暮らしのなかになにを視つめているのか。移りゆく季節の向こう側に小説以前の、書かれざる物語が浮かび上がる。
目次
1 小説家の四季
2 ありのすさび(まず国語辞典;続・国語辞典;ありのすさび;犬の耳;ウイッチントン;絵葉書 ほか)
3 猫と小説と小説家(ラブレターの練習;猫と小説;春の嵐;一九八〇年五月七日、快晴;「三無主義」の中年 ほか)
著者等紹介
佐藤正午[サトウショウゴ]
1955年8月25日、長崎県佐世保市生まれ。北海道大学文学部中退。83年に「永遠の1/2」で、第7回「すばる」文学賞を受賞。著書に「彼女について知ることのすべて」(集英社、1995年)、「取り扱い注意」(角川書店、1997年)、「バニシングポイント」(集英社、1997年)、「Y」(角川春樹事務所、1998年)、「カップルズ」(集英社、1999年)、「きみは誤解している」(岩波書店、2000年)、「ジャンプ」(光文社、2000年)など
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アルパカ
6
「豚を盗む」に続いて読みました。猫の話が良かった。とてもロマンティックで人に対する目線がやさしいので読んでいて心穏やかになります。かといって全く毒がないというわけではない・・・。気になるタイトルの意味「ありのすさび」(在りの遊び)・・あるに任せて特に気にせずにいること。生きているのに慣れて、なおざりにすること。2018/03/31
じゅん・・・
4
猫とコーヒー好きなんですね。共通点あり。2013/08/17
四面楚歌
2
エッセイと小説を併読していると、小説読んでるときにいつも頭の片隅に佐藤正午さんがいる?現象が起こっている。ほかのエッセイも読みたくなった。「豚を盗む」とか「象を洗う」とか、今すぐ読みたいのは「正午派」かな。2021/12/12
shizuka
2
ページをめくるのが楽しくてたまらない。佐藤正午を知って、まだ日は浅い。エッセイの中で作者が、野呂邦暢の文体に惚れるという意味で「同棲のあげくに結婚寸前まで行った仲」とあるが、私はまだまだ、恋の始まりかけで、熱っぽく始末の悪い状態だ。世に出ている小説・エッセイはたくさんある。片っ端から読み込んで、同棲まで持ち込みたい!2016/09/03
Voodoo Kami
2
野呂さんに言及した文章が二つ入っていました。「作家の文体に惚れるという意味で比喩を大げさに用いれば、僕は野呂邦暢とは同棲のあげく結婚寸前まで行った仲」の佐藤正午の本を私は今回初めて読んだので、かつて野呂さんの文章にエッセイから入ったように、佐藤さんにもエッセイから入ることになりました。1989年から2000年までに書かれたものということで、通信環境は今とは隔世の感があります。隣の隣の市にお住まいという似たような天気の下で毎日暮らしている親しさが湧いたので、これから『鳩の撃退法』も読んでみることにします。2016/04/05