出版社内容情報
現代を生きることと物語の可能性をめぐって,最も深い場所から人間をみつめる2人が,徹底的に語り合う.文学か恋愛,家族,さらに阪神大震災やオウム事件といった問題まで,現代日本のゆくえと個の新たな生き方を問う.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さいたまのたぬき
45
心理学者の河合隼雄さんと村上春樹さんの対談集。村上春樹さんが小説を書く心理を解き明かしながらの対談。対談についての補足説明的な文章が、中央の対談の部分を挟んで上下にそれぞれの言葉で書かれておりながら読みではちょっと読みにくいけど、まとめてしっかり読むと面白いことになっている。2018/02/23
Gotoran
29
1994年に米国(プリンストン)にて、お二方は公開対談を行っている(「こころの声を聴く」に収録されている、約1.5年前に既読済)。村上氏は河合先生を唯一繰返し対話した年長の知識人と評し、一方、河合先生は大抵は傾聴が常であるが、村上氏との対話では多弁になり、どこか「馬が合う」と。本書はタイトルの如く、米国から帰国した村上氏が京都の河合先生に会いに行っての対談本。ラポールが形成されたお二方の対談ゆえ、盛り上がらない筈がない。興味深く聴く、いや読むことができた。今まで、何故か読む機会を逸していた春樹作品↓2012/05/27
asiantamtam
21
村上さんが『アンダーグラウンド』を書く前の時点での対談集。オウム真理教についてお二方の見解が述べられていて興味深い。河合先生はほんとに人が好きなんだろうなということが伝わってきた。人が慕うのが理解できた。2019/06/02
マーシュランド
13
難しい話でしたが、河合さんのおかげか少し理解ができました▼これまで私にない視点のテーマもあり、気づきも得られ良かったです▼2100872021/11/19
Haruka Fukuhara
12
村上春樹がインタビューで河合隼雄は自分にとって特別な存在だと明かしていたのを思い出して手に取った。たしかに読んでいくと段々と村上の人生相談みたいな感じがしてきて、相性の良さ、河合の聞き上手な様子がうかがえる。翻訳とか日本とアメリカ・日本語と英語の感覚の違いについての言及もあってタイムリーだった。普通に対談部分だけ読んだけど、それぞれが上下で注釈を加えているのでそちらも楽しめそう。2017/02/24