出版社内容情報
文化と発展,地域発展,参加を重視する内発的発展論の展開を検討し,構造学派の諸理論の解明,社会・人間開発に関する分析を行う.同時に,ケインズ派の従属論の限界を示し,社会経済的分析の必要性を提唱する.
内容説明
1990年ごろを境に、開発経済学は大きく変わりつつある。それまでの近代化論に代わり、経済発展、開発の主要目的は人間そのものにあり、人間の開発は人間の選択能力の拡大にあるとする、人間/民衆中心型発展の考え方が登場し、影響力を強めている。本書では、文化と発展、地域発展、参加型発展を重視する内発的発展論の展開を検討し、社会構造と経済の動きの関係を追求する構造学派の諸理論を解明、社会・人間開発に関する分析を行なう。さらに、経済学の基本パラダイムとしての豊かさ・貧しさの概念転換の過程を検証する。1990年代に著者が公にした経済発展、経済開発に関する論考の集大成。
目次
第1部 内発的発展の世界(内発的発展論の起源と展開;国家と地域開発/発展;グローバル経済と内発性)
第2部 豊かさと貧しさの理論(経済発展から人間発展へ―シュンペーターとペルー;構造学派から従属論へ―その歴史的意義;世界システム論からレギュラシオン理論へ―制度的見方の展開;豊かさと貧しさ―ガンジーとマザー・テレサの仕事から経済学を見直す)
第3部 社会、人間の開発理論(援助と自立;社会開発とは何か―自立の条件づくり;貧困と格差―貧困緩和の諸方策;社会的経済―市民社会の経済学をめざして/EUの実例;アマルティア・センの人間開発理論;内発性と自立をめざして―社会的経済理論と社会・人間の開発/発展)