ナウシカ解読―ユートピアの臨界

ナウシカ解読―ユートピアの臨界

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  • サイズ B6判/ページ数 221p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784943983873
  • NDC分類 726.1
  • Cコード C0010

内容説明

成長する物語『風の谷のナウシカ』は、現代の思想的難問にいかなる解決を見いだしたか。付録―インタビュー・宮崎駿氏に聞く

目次

第1章 成長する物語
第2章 臨界への道
第3章 ナウシカの自死
第4章 決して癒されない悲しみ
第5章 青き清浄の地
第6章 クシャナの変貌

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

白義

13
極めて濃密なナウシカ論。作品から逃げない誠実な読解が重みのある読後感を与えてくれる。稲葉の読解をなんとかまとめると、漫画版ナウシカでは、アニメナウシカにあった素朴なエコロジー思想を飛び越え、宮崎駿が抱えていたジレンマを突き詰める形で表現の深化が行われた。そこでは人為と自然の区別が失効し、清浄と汚濁の区別もまた失効し、ユートピアと反ユートピア、それらを踏まえて出てきたメタユートピアという枠組み自体も失効、ユートピア論自体の臨界点にある「倫理」そのものが描き出されたということらしい2012/10/19

patapon

6
漫画版「ナウシカ」を大人になってから読んだ衝撃は忘れられない。こういう話だったのか、と。「決して自分が愛することのできないものたち、決して自分を愛してくれることのないものたちと、我々は同じ世界をわけあって生きていかなければならないということ。」にどう向き合って生きるのか。難しくて理解できない部分もありましたが読み応えがあった。また漫画版を読みたい。2015/12/04

タナカとダイアローグ

4
2021の1。政治と倫理、ノージックとアーレント、ユートピアなど、思想を経由してナウシカというテクストを解読する試み。難解…ナウシカが辿り着いた結論、青き清浄の地を取り扱い=個人が引き受けた倫理ということで、君ならどうする?という問いかけという読み方もできるなと改めて思ったところで、批評って大事だなと思った。漫画掲載約10年で冷戦構造の崩壊、エコロジー思想の変遷、同時進行のアニメ制作など、状況と掛り合い産まれた作品という興味深い事実。宮崎氏がいまペンをとったら全く違う結末になる(だろう)と。庵野監督に期待2021/01/01

void

4
【★★★☆☆】規定された目的論的物語・救済のための現在の犠牲を拒否したナウシカがどこに価値を置くかというと、単なる存在賛美ではなく、自己目的的で個々の事物・生物が現にあり相互に交流、流転する今、とマンガを解釈した。本書はアーレントの、循環・再生産する「労働」でも物に働きかけ製作する「仕事」でもなく、他人とコミュニケートする「行為」と重なりあう。「行為」は、他人という未知なるものとの接触がうむ新たな世界の「はじまり(ユートピア)」――「正義」が成される前提として現実にある場・「政治」を立ち上げる――側面と、2013/07/18

yori

3
★★★☆☆ マンガ「ナウシカ」は難しい。本書も、難しかった。。よく分からない内容はまぁすっ飛ばしつつ。ただ、牧人とナウシカの会話の重要性を認識した。この会話はすごい。ナウシカが最終的な気付きを得る瞬間。やり取りの一言一言が緊張する。それにしても「墓所」についてはやはり分からない。。2011/07/04

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