目次
第1部 人の生き死には決められることだろうか?
第2部 優生思想の根深さと能力による差別
第3部 身近に迫る生死の決定
第4部 倫理学的議論について
第5部 病や障がいはどのように捉えられるか?
第6部 より豊かな人間の命のために
著者等紹介
竹内章郎[タケウチアキロウ]
1954年、神戸市生まれ。社会哲学・生命倫理学。一橋大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。社会福祉法人いぶき福祉会評議員。現在、岐阜大学地域科学部教授(2020年3月31日定年退職)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆう。
25
生命倫理の中にある命の選別に対して鋭く批判がされている。死ぬ権利がなぜ問題になるのか、生に対する自己責任論を超えて、社会的な背景も踏まえながら論じられている。脳死問題にも触れられており、考えさせられた。命の選別や優生思想を克服するためにはどうしたらいいか、著者なりの考えも示されている。著者が、障害を抱えた子を持つ親だからこその当事者性が、内容をより深いものにしていると思う。2020/09/22
fumio_saurus
0
身体活動が生命維持を図る以上、脳死者や重度障害者が「死にたがっている」と推定することは不当。生と死の状態は比較できないから、死は予測しえぬ故に本人であっても責任をとれず「死ぬ権利」は認められない。脳死を「死」とする判断には、臓器移植を狙うインセンティブが存在する。「苦痛」や「悲惨な生」という概念は極めて相対的文化的なもので、これを基準に安楽死を認めるべきでない。近代では私有財産制を筆頭に市民権が優勢であり、各人の自由の犠牲で成り立つ生存(社会)権は劣勢にある、などなど生命倫理に関する鋭い指摘の連続でした。2023/02/02