内容説明
2000年代以降、新資料の発見が続き研究環境は劇的な変化をとげている。戦前から占領期にかけて、検閲する側はどのように行い、受ける側はどう乗り越えようとしたのか。検閲のプロセスを丁寧にたどることで、両者を対立的に捉える従来の図式を解体し、さまざまな立場の思惑が複雑に絡みあう実態を暴く!
目次
1 戦前・戦中期の出版警察体制から図書館への影響―県立長野図書館、静岡県立中央図書館の事務文書に見る検閲制度運用の一側面
2 大衆の“国民”化に影響を与えた戦時下の児童文化統制―佐伯郁郎と「児童読物改善ニ関スル指示要綱」
3 岩波文庫に対する検閲処分
4 占領期における検閲主体の読書行為―東京裁判言説の検閲内容をめぐって
5 在日朝鮮人文学と自己検閲―GHQ検閲と在日朝鮮人コミュニティーの狭間にいる「編集者・金達寿」の葛藤を考える
ラウンド・テーブル 見えざる“統制”に近づくために
著者等紹介
金ヨンロン[キムヨンロン]
1984年生。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。現在、早稲田大学高等研究所講師
尾崎名津子[オザキナツコ]
1981年生。慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程修了。博士(文学)。現在、弘前大学人文社会科学部講師
十重田裕一[トエダヒロカズ]
1964年生。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。現在、早稲田大学文学学術院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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