内容説明
1920~30年代の新しい世界観―“世界全体”再創造の作業―は、文学の場ではどのように展開し、宮澤賢治(1896‐1933)は人々にどうイメージされたのか。時代背景を検証し、賢治没後の初期受容を鋭く問い直す。
目次
序論 読みのメカニズムはいかに駆動するか―崩壊の危機のたびに再創造される“宮澤賢治”
第1部 “世界全体”再創造の時代―一九三〇年代の文学運動(エスペラントは日本近代文学にどう受容されたか―世界同時性の文学へ;“世界全体”をつくり直そうとするプロレタリア文学運動―その射程と限界;モダニズム文学が開いた大東亜共栄圏への通路―春山行夫‐T.S.エリオツト‐西田幾多郎;統制と自由、二つの顔を持つ文藝懇話会―“禁止”から“改善”への転換点として;“地方”的であることの相克―一九三〇年代の『岩手日報』学芸欄を読む)
第2部 一九三〇年代に“宮澤賢治”はどのように現れ、機能したか(賢治没後の作品公表史;一九三四年以後の賢治受容のメルクマール―横光利一の文藝春秋講演会での発言;初期受容における評価の変遷―論者の自画像となる“宮澤賢治”;横光利一と保田與重郎による再創造―ローカルなコスモポリタンとしての“宮澤賢治”へ;“宮澤賢治”がもたらしたユートピア―昭和期農民文学運動とアナキズム)
宮澤賢治による文学的再創造―「おまへはあのプレシオスの鎖を解かなければならない」
著者等紹介
村山龍[ムラヤマリュウ]
1984年生、東京都出身。慶應義塾大学大学院文学研究科国文学専攻後期博士課程単位取得退学。博士(文学、慶應義塾大学)。現在、法政大学文学部日本文学科助教(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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