内容説明
『コーヒーもう一杯』『澄江堂主人』『写真屋カフカ』で知られる漫画家・山川直人が昭和の文豪の名作短篇を漫画化。原作の時代背景を感じるノスタルジー溢れる絵柄に、著者独特の描写が光る味わい深い短篇漫画集です。
著者等紹介
山川直人[ヤマカワナオト]
1962年大阪生まれ、東京育ち。高校時代から同人誌活動を始め、1988年『シリーズ間借人』(ヤングチャンピオン連載)が漫画雑誌初掲載。主な著書に『コーヒーもう一杯』『澄江堂主人』など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Susumu Kobayashi
8
横光利一「機械」、萩原朔太郎「猫町」、太宰治「東京だより」を原作として、作者が漫画化したもの(原作も収録されている)。ご存じ独特の描線でユニークな作品世界が立ち上がってくる。「機械」のお金を落としてばかりいる主人ってのは、いったい……。「猫町」はブラックウッドの「いにしえの魔術」の方が強烈で、そちらの印象が残っている。昔、読んだはずなのになあ、「猫町」。「東京だより」は意外なオチ。「機械」だって、謎の要素を残して終わっていた。当時の作家も意識的にミステリの要素を作品に生かそうとしていたのか。2021/05/11
こばゆみ
7
めちゃくちゃ良かった〜!短編小説を漫画化した本は数あれど、「あらすじ把握するだけで、文章の良さは体感できないのよな〜」と思っていたところへ、こやつは原作も併録しているという万能っぷり!特に「猫町」が良かった〜!山川さんの描く猫だらけの町が、本当に不気味で作風に合ってた!いや〜夢に出てきそう(笑)2022/04/17
チェアー
6
「機械」があまりにも奇っ怪な小説でびっくりした。変わった主人と同僚を前に、自分の感情が振り子のように揺れて、自分でコントロールできなくなる。最後は人を殺したのかどうかすらもわからなくなり。機械法則による審判を望むようになる。これも薬品の効果なのか。 独特の絵で作品がリアルではない形で立ち上がってくる。こういう小説はリアルでないほうが、象徴であるほうがいいのかもしれない。2021/08/21