内容説明
当事者なき世界の、忘却と想起のはざまで―戦後75年以上が経過し、“あの戦争”を体験した世代がいなくなりつつある。近い将来やってくる“体験者のいない世界”で、歴史記憶の継承はどのようにして可能なのか。そもそも私たちは、なぜそれを継承しなければならないのか。最新の研究と平和博物館の取り組みから、未来のための根源的な問いにせまる。
目次
課題としての“ポスト戦争体験の時代”
第1部 体験の非共有性はいかに乗り越えられるか(継承とはなにか―広島市立基町高校「原爆の絵」の取り組みから;開いた傷口に向き合う―アウシュヴィッツと犠牲者ナショナリズム;戦友会の質的変容と世代交代―戦場体験の継承をめぐる葛藤と可能性;創作特攻文学の想像力―特攻体験者はどう描かれてきたか ほか)
第2部 平和博物館の挑戦―展示・継承・ワークショップのグローバル化(総論 平和博物館は何を目指してきたか―「私たち」の現在地を探るための一作業;英霊を祀る―遊就館(靖国神社)
体験的継承から対話的継承へ―長崎原爆資料館
原爆の災禍から何を学ぶのか―広島平和記念資料館 ほか)
「戦争体験」、トラウマ、そして、平和博物館の「亡霊」
著者等紹介
蘭信三[アララギシンゾウ]
上智大学総合グローバル学部教授。1954年生まれ。京都大学大学院文学研究科(社会学専修)博士課程中退。専門は歴史社会学、国際社会学
小倉康嗣[オグラヤスツグ]
立教大学社会学部教授。1968年生まれ。慶應義塾大学大学院社会学研究科後期博士課程単位取得退学。博士(社会学)。専門は生の社会学、ライフストーリー研究
今野日出晴[コンノヒデハル]
岩手大学教育学部教授。1958年生まれ。東北大学大学院文学研究科(国史専攻)博士課程前期修了。専門は歴史教育、日本近現代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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