内容説明
人はなぜ過去の記憶を調べ、探し、記録するのか。アイデンティティの確認として、作品世界の羅針盤として、新たな創作の起源として―さまざまな地名から、巷の物売り、名物、芸能・芝居、年中行事まで、往時の事物をめぐるスリリングな知的探究から、ひと昔前の慕わしい江戸の土地と暮らしのすがたが浮かび上がる。江戸、そして東京から好古の営みの歴史を繙く。
目次
1 知識を集め地理をひもとく(江戸の歴史のたどり方―考証の先達、瀬名貞雄・大久保忠寄と大田南畝;「長禄江戸図」と馬琴の地理考証―「神宮」をめぐる混乱;〓外歴史文学の“江戸”像―時間・空間の語り方に注目して)
2 風俗や慣習の由来を探る(新興都市江戸の事物起源辞典―菊岡沾凉『本朝世事談綺』;七兵衛という飴売り―柳亭種彦の考証随筆『還魂紙料』;失われた端午の節句「印地打」―日本人と朝鮮人のまなざしから考証する)
3 盛時の歌舞伎と遊里の面影を求めて(古画を模す―京伝の草双紙と元禄歌舞伎;古画の収集と考証―京伝読本の発想源)
4 響き続ける江戸(受け継がれた江戸―高畠藍泉の考証随筆;「趣味」(Taste)とは何か―近代の「好古」
江戸漢詩の名所詠と永井荷風
“江戸”をつくりあげた石川淳)
著者等紹介
小林ふみ子[コバヤシフミコ]
法政大学教授。専門は日本近世文学
中丸宣明[ナカマルノブアキ]
法政大学教授。専門は日本近代文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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