紙が語る幕末出版史―『開版指針』から解き明かす

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紙が語る幕末出版史―『開版指針』から解き明かす

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  • サイズ A5判/ページ数 430p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784909658050
  • Cコード C0095

出版社内容情報

書物の近代化は江戸時代からはじまっていた。

和紙から洋紙へ、和本から洋本へ。書物の形態が変化するとき、人は何を考え何を目指すのか。

幕末にこれからの出版を考えるために編まれた、出版統制に関する記事を集めた資料、『開版指針』(写本)の全貌を初めて紹介。この文献記録の分析を行い、同時に顕微鏡による料紙観察という新たな書誌学的手法を取り入れ、江戸末期から明治期にかけての日本における書物の変容について考察する。文献に記録された情報と、書籍を構成する紙を分析することで捉えられた、新しい日本幕末出版史。

書物・書籍はどのような要因・条件をもって作り上げられてきたのか。その根源に迫る。



【本書は十九世紀、江戸末期から明治期にかけての日本における書物の変容について、書誌学的に考察することを主意としている。日本の書物は、和本もしくは和装本と呼ばれる形態から、洋本あるいは洋装本といわれる、現在ほぼすべての書物にみられる装訂形態へと変化した。その過程に対して、書物を研究対象とする書誌学という視点を軸とし、書誌学としては新たな研究手法を用いた結果から検討する。考察の中核となる対象は、国立国会図書館所蔵の『開版指針』という資料である。出版統制に関する記事を集めた江戸期の写本である『開版指針』の記述内容を、同時期の公的文書資料と照合・比較しつつ、既存の書誌学的手法だけではなく、新しい調査方法で得た結果を併せて検証することにより、『開版指針』という資料の全体像と資料の意義を明らかにする。】…「序論」より

序論 新たな書誌学的方法で?蔭?の幕末出版史を解き明かす



第一章 『開版指針』にみる幕末の書物事情



第一節 『開版指針』書誌事項

第二節 『開版指針』翻刻と解説

 項目番号一 享保七年十一月の触「書物之儀ニ付町触」

 項目番号二 禁制の『堅觚集』

 項目番号三 遠国出版に関する甲府徽典館と大学頭とのやりとり

 項目番号四 手蔓で改を受ける書肆

 項目番号五 売弘(販売)に関して、大学頭から儒者への達

 項目番号六 『御教諭謹守録』の丁数変更

 項目番号七 御三家御城附への回答様式

 項目番号八 「官許」の書物の売弘(販売)

 項目番号九 儒者の著述と『大学問答』の売弘(販売)

 項目番号一〇 尾張殿御城附と学問所とのやりとり

 項目番号一一 会津藩板『四書輯疏』の書肆開板

 項目番号一二 『貫之集類題』の納本重複

 項目番号一三 大坂開板の漢籍『曝書亭文集』『清名家古文所見集』に関して

 項目番号一四 『清名家古文所見集』の江戸における売弘(販売)

 項目番号一五 『日本外史』『日本政記』の出板

 項目番号一六 『唐詩正声箋注』の開板と売弘(販売)

 項目番号一七 『明律国字解』の京都開板

 項目番号一八 学問所の改について

 項目番号一九 活字版『せめては草』

 項目番号二〇 写本『後三年軍記画巻』の売買

 項目番号二一 新刻伺と売弘伺

 項目番号二二 『聖武記採要』が開刻伺なく売弘(販売)

 項目番号二三 学問所から天文方への依頼

 項目番号二四 『海外新話』が改を受けずに開刻

 項目番号二五 『五経』重板問題

 項目番号二六 『紀伊国名所図絵後編』について

 項目番号二七 『黄中詠草』について

 項目番号二八 『?雨亭随筆』について

 項目番号二九 『正学指要』が改を受けずに売弘(販売)

 項目番号三〇 『信州善光寺如来之縁記』について

 項目番号三一 『満清紀事』について

 項目番号三二 唐本の活字版作成・所持・販売について

 項目番号三三 『類従三代格 残編』について

 項目番号三四 『三国通覧』出板に関連する処分

 項目番号三五 文化元年五月 絵双紙問屋行事への町触

 項目番号三六 禁制の『泰平年表』『殿居嚢』『青標紙』に関連する処分

 項目番号三七 錦絵起源金六説

 項目番号三八 流行錦絵之聞書(歌川国芳画「源頼光公館土蜘蛛作妖怪図」他)

 項目番号三九 貸本統制

 項目番号四〇 『観延政命談』について

第三節 『開版指針』の構成



第二章 『開版指針』成立の背景



第一節 『開版指針』と他資料の比較

 第一項 『開版指針』と『嘉永撰要類集』『市中取締続類集』との相違

 第二項 『開版指針』と『昌平坂学問所日記』の照合

 第三項 『開版指針』と宮武外骨『筆禍史』

第二節 『開版指針』と筒井政憲

 第一項 筒井政憲とは

 第二項 『開版指針』と筒井政憲の関連

 第三項 「源頼光公館土蜘作妖怪図」と筒井政憲

第三節 『開版指針』と蕃書調所

第四節 『開版指針』が目指した〈指針〉



第三章 紙質にみる書物の多様性と近代化



第一節 料紙観察という方法

 第一項 紙の基本情報

 第二項 製紙の基本原理

第二節 各種版本の調査結果

 第一項 蘭書の料紙観察

 第二項 画譜類の料紙観察

 第三項 須原屋系列書肆出版物の料紙観察

 第四項 鍬形?齋作品の料紙観察

 第五項 森島中良著作の料紙観察

 第六項 江戸期から始まっていた料紙の近代化

第三節 明治期の書物にみる料紙

 第一項 『当世書生気質』の書誌情報と料紙観察結果の比較

 第二項 『和獨對譯字林』にみる明治期の洋紙

第四節 作品に描かれた紙─原料や製法から見た紙の違い

 第一項 『御存商売物』における紙─山東京伝の感覚

 第二項 明治期における紙─作家たちが捉えた和紙から洋紙への変化

 第三項 『黄金虫』における紙─アメリカでの紙質変化

 第四項 『書林清話』における紙─中国での紙質変化

第五節 漢籍複製の挫折─竹紙は何故生産できなかったのか

 第一項 竹紙原料モウソウチクの招来

 第二項 薩摩における竹紙と漢籍

第六節 紙質からみる『開版指針』と筒井政憲



結び 『開版指針』と書物の近代化─伏流の書誌学



索引(人名・書名)

白戸 満喜子[シロト マキコ]
著・文・その他

内容説明

和紙から洋紙へ、和本から洋本へ―書物の形態が変化するとき、人は何を考え何を目指すのか?これからの出版を考えるために編まれた資料『開版指針』の全貌を初紹介。文献記録としての分析に加え、マイクロスコープによる料紙観察という新たな書誌学的方法を提示する。書物の近代化は江戸時代からはじまっていた!

目次

序論 新たな書誌学的方法で“蔭”の幕末出版史を解き明かす
第1章 『開版指針』にみる幕末の書物事情(『開版指針』書誌事項;『開版指針』翻刻と解説;『開版指針』の構成)
第2章 『開版指針』成立の背景(『開版指針』と他資料の比較;『開版指針』と筒井政憲;『開版指針』と蕃書調所 ほか)
第3章 紙質にみる書物の多様性と近代化(料紙観察という方法;各種版本の調査結果;明治期の書物にみる料紙 ほか)
結び 『開版指針』と書物の近代化―伏流の書誌学

著者等紹介

白戸満喜子[シロトマキコ]
青森県立弘前高等学校卒業。慶應義塾大学文学部国文学専攻卒業後、法政大学大学院にて日本文学(近世)を専攻。指導教官は松田修。原典・現物にこだわる研究姿勢を継承している。慶應義塾大学の無料公開オンライン講座FutureLearn「The Art of Washi Paper in Japanese Rare Books(古書から読み解く日本の文化、和本を彩る紙の世界)」で講師を勤める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。