出版社内容情報
浜野 佐知[ハマノ サチ]
著・文・その他
内容説明
男社会に挑んだ映画監督・浜野佐知の人生を賭けた戦記!
目次
ふたつの原風景
ピンク映画へ
自分の会社を作る
母の死
『第七官界彷徨―尾崎翠を探して』
『百合祭』
『こほろぎ嬢』
『百合子、ダスヴィダーニヤ』
女性がピンク映画を観る、ということ
『BODY TROUBLE』
転機
『雪子さんの足音』
著者等紹介
浜野佐知[ハマノサチ]
1948年徳島県生まれ。高校時代に映画監督を志し、1968年ピンク映画の業界へ。1971年監督デビュー。1985年旦々舎設立。以後、監督・プロデューサーを兼任し、300本を超える作品を発表。1998年から一般映画の制作・配給も手がける。2000年第4回女性文化賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
114
映画監督になりたいと熱望しながら男性優位の壁に阻まれた著者は、ピンク映画という隙間から強引に参入を果たす。映画を撮るためなら何でもやるとの固い覚悟があったので、女だからと様々な嫌がらせをされても決して心を折らなかった。おかげで男の欲望を満たす目的のジャンルの映画で、逆に男の内面を嘲笑し女の欲情を過激に描く作品で売れっ子になれた。一般映画に進出後も「自分の本来の仕事」とピンクを撮り続け、制作会社のためAV撮影も行ったのだから凄まじい意志力だ。やりたいことをやり通す「苔の一念」で闘い続けた強い女の凄絶な記録。2022/12/20
富士さん
6
男性向けコンテンツに関わる女性に興味があって、手に取りました。女性運動には男性のしていることを拒否する立場の人と、男性と同じものを女性として行おうとする立場の人がいるように思います。監督は当然後者で、間接的な上野千鶴子との邂逅がふたつの立場の決定的な違いを象徴的に表しています。例えアート作品を撮っても、AVを撮っても、女性性とポルノ生産者としての立場を断固捨てない態度は、性別や好悪を超えて感銘を与えるものです。誰もが監督のようには生きられないとは思いますが、一つの目標として知っておいてよい方だと思います。2023/05/25
水
1
日本の不思議なところって、男も女ですらも"活躍する女が嫌い"なところ。浜野さんは姑息な意地悪にも、パワハラやセクハラにも負けず立ち向かう。そんなかっこいい女がかっこいい女たちを引き寄せ映画界を変えていく様子が記されている。私も浜野さんに惚れました。2023/12/10