内容説明
国境を越えて移動する人々が地球規模で増加する中、日本においても「移動する子どもたち(Children Crossing Borders)」への教育を整備することが、喫緊の課題となっている。多様な背景をもつ子どもたちが、日本社会で疎外されることなく、力強く生きていくための「ことばの力」を育てなければならない。JSL(Japanese as a Second Language)教育の研究者として最前線でこの課題に取り組んできた編者たちが、オーストラリアにおけるESL(English as a Second Language)教育の理論と実践、異領域の専門家との対話を通して、新たな「ことばの教育」の理念と方法を模索する。
目次
はじめに 「移動する子どもたち」とともに生きるとは
第1部 「ESLの子どもたち」のことばの力を育てる(オーストラリアのESL教育の流れと論者たち;スキャフォールディングの実践とその意味―在籍学級のESL生徒の学びをどう支えるか ほか)
第2部 「JSLの子どもたち」のことばの力を育てる(日本のJSL教育の意義を問い直す―「年少者日本語教育学」の構築を目指して;年少者日本語教育の構築に向けて―子どもの成長を支える言語教育として ほか)
第3部 異領域との対話(異領域との対話から生まれる気づきと連携;ことばの力とは何か ほか)
あとがき ESLとJSLのシンクロニシティー
著者等紹介
川上郁雄[カワカミイクオ]
現職、早稲田大学大学院日本語教育研究科教授。専門は、日本語教育、文化人類学。博士(文学)。オーストラリア・クイーンズランド州教育省日本語教育アドバイザー(国際交流基金派遣日本語教育専門家)、宮城教育大学助教授、教授、早稲田大学日本語研究教育センター教授を経て、2003年より現職。2001‐2007年、文部科学省の「学校教育におけるJSLカリキュラムの開発に係る協力者会議」の委員を務める
石井恵理子[イシイエリコ]
現職、東京女子大学現代文化学部教授。専門は日本語教育、教師教育。修士(国文学)。民間の日本語学校および大学留学生センターの講師を経て、1988年より国立国語研究所に勤務。日本語教育に関する研究および日本語教師の現職者研修を担当。2000‐2003年、文部省(文部科学省)海外子女教育研究官を併任。2001‐2004年、政策研究大学院大学連携教授を併任。2001‐2007年、文部科学省「学校教育におけるJSLカリキュラムの開発に係る協力者会議」委員を務める。2004年より東京女子大学に勤務、2008年より現職
池上摩希子[イケガミマキコ]
現職、早稲田大学大学院日本語教育研究科准教授。専門は日本語教育。修士(日本言語文化学)。国立国語研究所日本語教育長期専門研修を受講し、中国帰国者定着促進センターに勤務。帰国者センターでの日本語教育において、高齢者から年少者まで、入門レベルから上級レベルまで、多様な学習者とともに学ぶ。2005年より現職。2001‐2007年、文部科学省「学校教育におけるJSLカリキュラムの開発に係る協力者会議」委員を務める
齋藤ひろみ[サイトウヒロミ]
現職、東京学芸大学教育学部准教授。専門は日本語教育。修士(言語学)。小学校教諭、中学校教諭を経て、日本語教育の世界へ。日本語学校の講師、中国の中等学校・大学の非常勤講師、自治体派遣日本語指導員などを経験。1997年より中国帰国者定着促進センターで年少者日本語教育に携わる。2000‐2004年、東京学芸大学国際教育センター助教授、2005年より現職。2001‐2007年、文部科学省「学校教育におけるJSLカリキュラムの開発に係る協力者会議」委員、2002‐2004年、文部科学省初等中等教育局海外子女教育専門官(併任)を務める
野山広[ノヤマヒロシ]
現職、国立国語研究所日本語教育基盤情報センター整備普及グループ長。専門は、社会言語学、言語政策研究、日本語・国語教育、多文化・異文化間教育等。修士・MA.(文学、教育学、Applied Japanese Linguistics)。国内外の日本語教育機関の非常勤・客員講師や、文化庁文化部国語課の専門職(日本語教育調査官)を経て、2004年から国立国語研究所日本語教育部門(当時)に勤務。文化庁時代から、日本語学習支援の充実に関するさまざまな事業、委員会、協力者会議等に携わってきた。現在、政策研究大学院大学連携教授及び東京外国語大学多言語・多文化教育研究センター特任研究員を兼任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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