目次
1 ナチス・ドイツ軍のリトアニア侵攻(ユダヤ人絶滅計画が進んだ背景;虐殺に加担したリトアニア市民 ほか)
2 ドイツ軍侵攻後のヴィリニュス(マーシャの決意;リトアニア市民によるユダヤ人集団虐殺 ほか)
3 ゲットーへ(ヴィリニュス・ゲットー;居住環境 ほか)
4 強制収容所への移送(カイザーヴァルト強制収容所;シュトラスデンホーフ強制収容所 ほか)
5 現在のリトアニア(ヴィリニュス・ゲットー跡;ユダヤ博物館(グリーンハウス) ほか)
著者等紹介
清水陽子[シミズヨウコ]
早稲田大学第一文学部卒業。1994年からキルギスのビシュケク人文大学、1997年からカザフスタンの民族総合大学に日本語教師として勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Nobuko Hashimoto
13
リトアニアにおける大戦中のユダヤ虐殺についてまとめた本。リトアニアといえば、日本の外交官杉原千畝氏がユダヤ難民約6000人にビザを発給した場所であるが、実は現地の反ユダヤ主義は大変苛烈で、ほとんどのユダヤ人が亡くなったという。本書は辛うじて生き残ったユダヤ人少女の証言を基にしたリトアニアの作家によるドキュメンタリー作品をベースにしているようなのだが、どこからどこまでが引用なのか、どの程度著者のオリジナルな著述なのかが判然としないのが残念。2017/06/05
CHRONO
7
リトアニアではナチスがホロコーストを始める前にユダヤ人の排斥が始まっていて、最終的に95~97%とほぼすべてのユダヤ人が虐殺・排斥されている。その背景に反ソ連感情やリトアニア人によるリトアニア国家の形成を唱える民族主義者の増加について書かれていた。そういった事情をゲットーや強制収容所からの生き残ったマーシャの証言をもとに解説している。杉原千畝が外交官として赴任し、ポーランドから逃れてきたユダヤ人のために数千枚のビザを発給した地で、このような凄惨な出来事があったのを知らなかった。2021/07/31
samandabadra
3
人為的な不条理に巻き込まれ命を落とすことはどう受け止めればいいのだろう。何度も何度も生死が紙一重の岐路に立たされながら生き残った女性の物語。戦前、リトアニアにいた22万人いたユダヤ人が終戦時には3万人に激減した苛烈な状況、生き残るのは7人に1人以下であったということになる。主人公マーシャ自身がロシア語で書いた3部作が原作のようだが、事実もあればフィクションもあるような体裁のように感じられる内容だった。最後にリトアニアの負の歴史遺産の紹介があるが、機会があればぜひ行ってみたいところである。2020/04/19
あらい/にったのひと
2
淡々と人が殺されていく。ドイツ人だけでなく現地リトアニア人からも能動的に迫害を受けた人達の記録。p65の、弟妹の姿を見せる母親の話が脳に焼き付く。淡々と人間の形をしたクズの描写が続くのでそこそこハードです。ただ、参考文献にウィキペディアがあると読んでる方はヘナヘナヘナ…と崩れ落ちる面もありますね。2021/03/26