内容説明
市壁をこえて交通網を拡大させ、職住分離という新しい生活様式をもたらし、世界に先駆けて大都市圏をつくり上げたロンドン。西欧近代による強引な交通機関の建設によって近代都市へと生まれ変わった上海。車両利用によって水都から陸都への変貌をうながされた大阪など、大都市圏の成長とともに細密な路線網をつむぎ出してきた公共交通―鉄道条車・バス・路面電車・地下鉄など―の歴史を詳述。
目次
総論
ニューヨーク
ロンドン
パリ
ベルリン
モスクワ
上海
ソウル
大阪
東京
東京の都市交通―1911~2011年
著者等紹介
小池滋[コイケシゲル]
1931年生まれ。東京大学文学部卒業後、東京都立大学や東京女子大学で英語・英文学の教師を勤めた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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山口透析鉄
21
市の図書館本で借りました。大都市に住民が集中すると交通の問題も必ず発生しますので、歴史的な違い等はありますが、公共交通機関の整備はついてまわります。 この本ではニューヨーク・ロンドン・パリ・ベルリン・モスクワ・上海・ソウル・大阪・東京といった具体例が出てきています。 それぞれの都市の特性に応じた政策は展開されていますが、どこも路面電車は排除されてしまっていますので、今の欧州で普及してきているLRTが作られている都市の例も欲しかったです。正直その辺が物足りませんでした。2024/03/15
たこ焼き
11
都心は道路が狭いのが特徴。道路が大きいと交通量の流入を招く。仕事がある都市は発展し、公共交通機関がそれを増幅させる。一方で公共交通機関の効率性が担保されなるだけのエリアサイズでないと、交通事業として成り立たない。鉄道インフラは一民間企業の収入だけでは維持は難しい。(世界でも同じ)コンパクトシティを目指すなら密な公共交通機関の存在が必須、一方広々とした都市を目指すなら私的乗り物をミックスにした長距離公共交通を目指すべし。コンパクトな都市を目指してもその都市が発展する限り、コンパクトであり続けることはできない2020/10/28
kentake
2
地下鉄、路面電車、バスといった公共交通機関は、世界中の大都市で、都市機能の発揮に向けた欠かせないインフラとして整備されているが、その整備状況や運営形態は、それぞれの都市により皆異なっている。本書では、世界の9つの大都市に着目し、都市交通の発展の歴史を、それぞれの都市が近世以降辿ってきた発展の経過と併せ解説している。都市交通の整備状況が、近代以降の人口増加期の歴史や政治情勢の違いにより、現在まで影響している点が興味深い。2018/09/23