内容説明
冷戦終焉が「アメリカの勝利」と総括されて以降、世界のいくつかの国や勢力について「民族浄化」が指摘されたり、あるいは「悪の枢軸」「独裁国家」「強権政治」などの特徴付けが与えられ、それらを非難する側は「普遍的正義」の名で介入を正当化してきた。そこにおいて「邪悪」とされる側を擁護することなしに、このような黒白二元論的発想を超えることは可能だろうか。現代国際政治の「常識」を再考し、新たな見方を提唱する。
目次
第1部 「民族浄化」と「人道的介入」(「民族浄化」とは何か;「人道的介入」をめぐる言説状況;「リベラルなタカ派」の軍事介入論―マイケル・イグナティエフの場合)
第2部 冷戦終焉後のユーラシア空間における地政学(二一世紀初頭のユーラシア空間―「新しい冷戦の兆し」論と「カラー革命」論を中心に;ヨーロッパとロシアの間のウクライナ―「オレンジ革命」再考;ロシア・グルジア・南オセチア戦争、二〇〇八年八月)
第3部 国際政治と政治思想(リベラリズムと他国への介入―ジョン・ローンズの場合;ジェノサイドとハンナ・アーレント―『イェルサレムのアイヒマン』をめぐって;E.H.カーの国際政治思想―ハスラムによる伝記を手がかりに)
著者等紹介
塩川伸明[シオカワノブアキ]
1948年生まれ。東京大学教養学部教養学科卒業。東京大学大学院社会学研究科国際関係論専門課程博士課程単位取得退学。現在、東京大学大学院法学政治学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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