内容説明
18・19世紀の東アジア世界は、「ウエスタンインパクト」(西欧からの衝撃)によって、受動的に西欧化させられたのではなかった。東アジア社会に深く根付いていた共通の政治文化が、西欧文明との接触によって、様々な方向に自己変革していく姿を多面的に描き出し、近世・近代移行期の新しい歴史像をダイナミックに提示する挑戦。
目次
序 政治文化論の視座―東アジア史像への可能性を探る
1 「国民」の形成と文化(自由民権派壮士の自己認識と施政批判・対外観―一八八七(明治二〇)年前後の言動
「民族主義」の記憶と「秘密結社」―中国近代史における「民族」の生成
文明開化と大衆文化の間隙―三遊亭圓朝の近代)
2 法文明の変容(律令法から西欧法へ―副島種臣を手がかりとして;近代中日両国における法律近代化過程の比較―法律近代化推進手法の諸特徴)
3 国家と民衆の関係意識(東アジアにおける近代移行期の君主・神観念―救済と平等への待望シンボル;朴殷植における国家と民衆―朝鮮的政治思想・政治文化の葛藤)
4 国際関係の軋轢と調整(王国末期首里王府の異国人対応と薩摩藩;一九世紀におけるアイヌへの眼差しと政治文化―アイヌ墳墓盗掘事件)
著者等紹介
深谷克己[フカヤカツミ]
1939年生まれ、早稲田大学大学院文学研究科史学(日本史)専攻単位取得、文学博士。現在、早稲田大学文学学術院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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