内容説明
これが、新自由主義の悲惨な末路だ!緊縮財政、民営化、規制緩和、自己責任社会…。支配層の欺瞞を暴き、英米とEU各国で絶賛された衝撃の書!
目次
1 シャノン・マシューズの奇妙な事件
2 「上から」の階級闘争
3 「政治家」対「チャヴ」
4 さらしものにされた階級
5 「いまやわれわれはみな中流階級」
6 作られた社会
7 「ブロークン・ブリテン」の本当の顔
8 「移民嫌悪」という反動
結論 「新しい」階級政治へ
著者等紹介
ジョーンズ,オーウェン[ジョーンズ,オーウェン] [Jones,Owen]
イギリスのシェフィールド生まれ。オックスフォード大学卒(歴史学専攻)。20代で初の著書である『チャヴ―弱者を敵視する社会』を上梓。ニューヨーク・タイムズ紙の「2011年の本トップ10」に選ばれ、2013年には「ポリティカル・ブック・アワード」の「ヤング・ライター・オブ・ザ・イヤー」も獲得した。現在は、ガーディアン紙などでコラムを執筆。テレビやラジオでも活躍中
依田卓巳[ヨダタクミ]
翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えちぜんや よーた
95
中所得者層の家計を支えていた鉱工業が「おらが町」から撤退するとどうなるか。英国でも米国でも状況は同じようだ。かつてのブルーカラー層はカスタマーサポート・流通業など低賃金サービス労働に従事せざるを得ない。この本では書かれていないが「アマゾンの倉庫」もその受け皿になっている。米国の場合、かつての工業地帯で働いていた「高卒ブルカラー層」はトランプ大統領を当選させることで政治的な支援を得られた。だが英国の場合は労働党さえも弱者を支援することをあきらめている。日本も他国の産業政策を論じられる状況ではないけど。2020/02/18
どんぐり
86
「チャヴ」は、イギリス社会で白人労働者階級に対して侮蔑的に使われている言葉だ。ここには、労働者階級に関連した暴力、怠惰、十代での妊娠、人種差別、アルコール依存や麻薬中毒などのネガティブな特徴が含まれる。サッチャリズムによって労働組合が叩きのめされ、われわれはみな「中流階級」で、残りは衰退していく労働者階級の残りかすの「チャヴ」に分かれるという政界やメディアによるイメージ作りが行われ、チャヴ・ヘイトが生まれた。このような「チャヴ」への嘲笑や軽蔑が社会に浸透したのはなぜか、それを深く洞察したのが本書である。2017/11/11
マエダ
85
もともとチャブの定義はカジュアルなスポーツウェアを着た労働者階級の若者だったが今では労働者階級に関連した暴力、怠惰、十代での妊娠、人種差別、アルコール依存など、あらゆるネガティブな特徴が含まれている。イギリスの社会問題は日本にも通づるところが多く、なかなかセンセーショナルな本書。2018/02/13
HANA
64
イギリスの階級差別を扱った一冊。チャヴと呼ばれる労働者階級がこれほど敵視されるのはサッチャリズムがもたらした、貧困であるのは個人の責任だという考え方であるという風に説いているのであるが、読んでいて賛同し難い部分も多々あり。古き良き労働観とか法人税の事とか。この本の先見性は左派が貧困層の声を拾う事をやめた事によって、それを拾う極右が台頭すると予見している事。あと製造業についても触れられているが、世界的に製造業を自国に回帰させる動きが広がっているが、現在のイギリスがどうしているかが読み終えて気になった。2020/05/16
AICHAN
63
図書館本。昨年3月に予約してようやく手に取った。著者は20代の若者。「チャヴ」って何じゃろと思ったら、イギリスの下層階級の人々の蔑称だそうだ。歴代政治トップの「運の悪い人はだいたい自業自得」という考え方により、「チャヴ」はますます下層に堕ち、社会的に偏見視され、中流・上流階級出の多いジャーナリストたちからも糾弾され、イギリスの階級差はどんどん深まったという。これはイギリスだけのことではなく、アメリカにも日本にも当てはまるように思われる。どの国も貧困が蔓延し格差社会になっている。これでいいのか!2019/03/16