内容説明
寺山修司のみずみずしい抒情世界を掬い取った童話と詩が、宇野亜喜良の絵とともに1冊の絵本となった。寺山修司没後20年を経てはじめての、二人の鬼才による大人の絵本の誕生。
著者等紹介
寺山修司[テラヤマシュウジ]
1935年青森県弘前市生まれ。早稲田大学在学中より歌人として活躍。1967年、演劇実験室「天井桟敷」主宰。多くの人を魅了した演劇、映画、詩、俳句、エッセイなどのジャンルに加え、若い女性を対象に「フォア・レディース・シリーズ」(新書館)にみられる、童話、少女詩集といった抒情的作品も数多く残している。1983年没
宇野亜喜良[ウノアキラ]
1934年生まれ。名古屋市立工芸高校図案科卒業。日本デザインセンター、スタジオ・イルフィルを経てフリー。日宣美特選、日宣美会員賞、講談社出版文化賞挿絵賞、サンリオ美術賞、赤い鳥挿絵賞。1999年紫綬褒章受章
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感想・レビュー
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♪みどりpiyopiyo♪
37
…でも本当の自分はどこにいるのでしょうか? ■寺山修司の 小さなお話と、詩が数編。宇野亜喜良の絵と共に。■思春期を迎えた少女の戸惑い。私の中の『不思議の国』の中の私。あべこべな自分。■宇野亜喜良は、シュールレアリスティックな女性の絵がちょっとこわくて苦手でしたが、この本で少し親しみを持ちました。■寺山修司没後20年に宇野亜喜良の叙情的な絵で綴った 詩的な絵本です。(表題作:文 1997年、絵 2003年。詩に添えた絵は1996年〜1997年)(→続2019/08/11
スプーン
31
再読。二人の天才の邂逅。思春期の複雑な内面性を表した童話。「ほんとうの自分」なんて、何人いても良いのさ。2020/05/17
tomo*tin
22
私は本書を読むたびに、この二人はすごすきる、と驚く。というか震える。もしくは恐ろしいと思う。あんまり言いたくないけれど、天才だわ、と思う。女のからだはお城で、中にもう一人の少女が隠れてるだなんて、どうして書けるのだろう。そして、その言葉にぴったりと寄り添った絵を、どうして描けるのだろう。ああ、きっとお二人とも少女の魂を心に飼っていたに違いない。素敵なことです。大好きです。2009/04/20
Roy
21
★★★★+ なんて言葉が煌めいているのだろう。いつの間にか忘れてしまったこと封印したことを、ひっそりとした美しさで示す寺山修司。宇野亞喜良のイラストもコラージュも陰があって美しいのだけど、あゝ哀しいかな、イラストの方はクレヨンみたいな着色と少女の横顔が平坦過ぎて気になってしまう。僕のなかにいるはずの小さなもうひとりの僕が死んでしまってるからなのだろう。蘇生したいんですけど。2009/05/23
レニ
17
表題作、きらきらしていた。絵の美しさに圧倒され、文章に圧倒され・・。今の自分が読むと、そう感じる。 もし、小学生くらいの子どもが読んだなら、ちょっと怖いお話・・って思うのかな。それとも、また別の感想を持つのかな。 「かなしくなったときは」の詩の一文、「どんなにつらい朝も どんなにむごい夜も いつかは終る」が良い。2014/08/23