内容説明
ポストオウムという過酷な課題に立ち向かい、次の段階に進まなければならないのは、オウムでなく、社会の側だ!しかし、実際に聴こえてくるのは、過剰なセキュリティ意識に支えられた「国家」や「我々」という排除の合唱だけではないか?声高な掛け声に拮抗する沈黙の言葉を失ったとき、私たちはいったいどこへいってしまうのか?黒と白、不毛な二項対立の狭間に、豊かなグレーゾーンを見出す心情のダイナミズムを私たちはいかにして保持すればよいのか?ドキュメンタリー現場から俯瞰した、日本社会の実像と課題がこれだ。
目次
第1章 ポストオウムをどう生きるか(一人称主語にこだわる理由;人間は灰色の動物だ ほか)
第2章 表現とメディアの問題(何が問題なのか;視点の転換 ほか)
第3章 レファレンスとしての親鸞(無意識のなかにあるもの;親鸞:レトリックを尽くして語られる「悪」 ほか)
終章 森達也そのセルフイメージ(表現行為従事者は嘘つきである;わからなさを排除するな ほか)
著者等紹介
森達也[モリタツヤ]
1953年広島県呉市生まれ。テレビディレクター、映画監督、作家。1998年、オウム真理教側の視点で日本社会を見た自主制作ドキュメンタリー映画『A』を発表、ベルリン映画祭に正式招待される。2001年、続編の『A2』が山形国際ドキュメンタリー映画祭で審査員特別賞、市民賞を受賞する
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