目次
第1部 “人称”の翻訳(“人称”の翻訳・序説;“人称”的世界と語り―ジュール#ヴェルヌ『拍案驚奇地底旅行』;変換される“人称”―坪内逍遙訳『贋貨つかひ』;“探偵小説”の試み―坪内逍遙訳『種拾ひ』;「周密体」と人称―森田思軒訳『探偵ユーベル』;“自己物語”の翻訳―森鴎外訳『懺悔録』;“人称の翻訳”の帰趨―坪内逍遙『細君』)
第2部 言語交通としての翻訳(「媒介者」としての翻訳;“教養小説”の翻訳―丹羽純一郎訳『欧州奇事花柳春話』;『花柳春話』を生きる―坪内逍遙『新磨妹と背かゞみ』;「探偵小説」のイデオロギー―内田魯庵訳『小説罪と罰』;翻訳される「子どもらしさ」―若松賤子訳『小公子』)
第3部 冒険小説の政治学(明治期のロビンソナード;ナショナリズムの翻訳―矢野龍溪『報知異聞浮城物語』;「海洋冒険小説」の時代―『冒険奇談十五少年』の背景;「冒険」をめぐる想像力―森田思軒訳『冒険奇談十五少年』)
著者等紹介
高橋修[タカハシオサム]
1954年、宮城県生まれ。上智大学大学院博士後期課程修了。博士(文学)。専攻は日本近代文学。共立女子短期大学文科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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志村真幸
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明治期に探偵小説や冒険小説が翻訳されたとき、どのようなバイアスがかかったか、切り落とされたものは何か、付け加えられたものがあるのかといった問題を、原典との照合によって明らかにした研究書である。 『小公子』(若松賤子訳)などが扱われている。 主として探偵小説と冒険小説。 当時の日本人の概念では訳せなかった/理解できなかったものがあったり、理解できるように補足しなければならなかった事柄が浮かび上がってくる。 翻訳という作業の点検を通して、当時の日本人の頭の中がのぞきこめ、きわめて刺激的であった。 2021/02/22