内容説明
他者の共同体。ハイデガーのナチ加担問題の核心に迫るラクー=ラバルト著『政治という虚構』を出発点にして、ハイデガー問題の全容、「日本」という問題の歴史性、知識人の存在と責任を徹底究明し、他者を創る。『政治という虚構』のダイジェスト、未刊原稿「国民社会主義の精神とその運命」収録。
目次
1 国民社会主義の精神とその運命
2 討論―ハイデガー問題と日本
3 他者なき思想―鎖国の歴史性と反コペルニクス的転回
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きさらぎ
5
1996年出版。1987~88年、フランス思想界で、ナチズムへの荷担について沈黙したハイデガーの事が広範な論争を巻き起こした「ハイデガー事件」について、二人の学者と演劇人で行われた討論と、それを受ける形での浅利氏の論文がメイン。最近友人とレヴィナスやアウシュヴィッツについて話す機会があり、その頃読んだ本を再び手に取った次第。論文は丸山の徂徠論や柄谷氏の差異論を批判する形で日本思想における「他者(性)」の欠如について述べたもので、20年経った現在この問題意識がどのように扱われているのかは私には判らない。2015/09/27
なつき
1
『他者なき思想 ハイデガー問題と日本』読了。浅利誠、荻野文隆ほか。藤原書店、1996年。いわゆる「ハイデガー問題」をきっかけとして、ハイデガーと日本を関連づけてさまざまな試み的記述がなされる。なるほどハイデガーの現存在と日本の歴史的排他性というのはこう絡められるのかと、驚いた。2017/05/19