内容説明
東京五輪はすでに金銭的にも広告的にも頭打ち。これが後5年も続くという悪夢。もはやどの都市もやりたがらない!?感動を与え富を失う世界的イベントの意味とは?過去の大会の経済収支から読み解く、“オリンピックは儲からない”という真実。五輪バブルの実態を暴いた全米話題の書。
目次
第1章 オリンピックの問題点
第2章 オリンピックの起源
第3章 短期的な経済効果
第4章 レガシー、長期的な経済効果
第5章 バルセロナの成功例とソチの失敗例
第6章 リオとロンドンに見る経済的効果
第7章 パンか?サーカスか?
著者等紹介
ジンバリスト,アンドリュー[ジンバリスト,アンドリュー] [Zimbalist,Andrew]
スミス大学(マサチューセッツ州)の経済学教授、ロバート・A・ウッズ教授と同一人物。スポーツ経済学者、業界コンサルタントとして知られ、様々なメディアにおいて精力的に発言している。スポーツビジネスに言及した著作を数多く発表している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キク
44
スポーツ好きでミーハーだけど、若干ひねくれてるので図書館の特設棚から本書を借りてみた。1976年以降の大会は全て予算超過となっていて、平均で2.55倍、直近4大会に関しては10倍まで最終コストが膨れ上がっている。当初予算は誘致のための偽りの金額で経済としてのオリンピックは、まさにバブルだ。IOCの主張する経済効果に根拠はないとスポーツ経済学者は指摘する。もう、毎回アテネで開催したらいいのに。そしたら、負の遺産となる巨大建築物を、世界中に建てる必要はなくなる。ゼネコン社員が言うのもなんなんだけど、、、。2021/07/30
壱萬弐仟縁
43
2016年リオの混乱(126頁~)。五輪会場をつなぐ道路トランスオオリンピカも住民や環境に負担を強いるものとなっている(130頁)。他、五輪に向けた大掛かりな建設による短期的な雇用の増加は必ず起こる。問題は2点。①政府は借入金を数十年がかりで返済、他の政府プロジェクトへの資金や雇用を減らす。②労働者を域外、国外から招き、わずかしか支払わない。既存権力構造や格差構造を強化する傾向にある(160頁)。後者が特に重要。五輪が分断社会を深刻化させるなら大問題。2016/11/07
チェアー
9
オリンピックは儲からないことを手を変え品を変え解く。オリンピック開催に反対する根拠本として意味がある。ここまでもうからない、意味がないことを証明されているのに、オリンピックをしたがる人は絶えない。目先の一部のもうけを全体の利益のように言い繕い、ごまかし、忘れる。税金をふんだんに使い、高い放映権料を受け取る。なんでやりたがる人がいるのかについては、この本ではあまり追及されていないが、読んでいればなんとなく理由はわかる。何らかの形で「一部のもうけ」が「自分のもうけ」になるためだろう。2016/05/27
schole
4
オリンピック開催地になると経済がよくなるのか、という疑問に過去の開催国などのデータを元に検証した本。開催して成功したのはバルセロナとロサンゼルス位。理由としては前者は最初に都市開発の計画があり、その後で立候補したため(オリンピックが目的ではない)、後者は他に立候補がなかったので必要な条件を開催地側が主導権を握ったため。4年後に開催を控える中様々に揉めている日本だが、予算がオーバーするのはどの開催国も同じらしい。見通しが甘いのはほかの国も同様。オリンピックのために都市開発したのはソチとダブる。2016/05/16
イガラシ
3
オリンピックを行うと、雇用創出や経済的発展が続くというのは幻想にすぎないという。ここ最近のオリンピックでうまくいったのは、1984年のロサンゼルスと1992年のバルセロナくらいか。しかし、それらの都市に学ぼうとしても、うまくいった試しはない。役に立たないスタジアムが残り、巨額の負債も残る。きれい事だけでできるイベントではない。2016/07/13