内容説明
長い髭にターバンそしてテロ教団、といったイメージでとらえられがちなシク教。ヒンドゥーとイスラームのせめぎあいの中で、神の前での絶対な平等を説くシク教は生まれた。そのシク教の教理や文化の独自性を、他の宗教との比較を通して明確にする。
目次
第1部 シク教の教え(シク教の現況;シク教思想の二大源流;ナーナクの思想と生涯;ナーナクの後継者たち)
第2部 シク教の文化(シク教文化とインド社会;シク教とインドの食文化;インド文化のメルクマール)
第3部 シク教と大乗仏教(シク教と大乗仏教との接点;イスラーム教と西北インド仏教の衰亡)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
可兒
1
サブタイから、同じくインド北西部に興ったシク教と大乗仏教(→密教)の比較について考えていたが、シク教文化に力がこもっていて個人的には期待外れ2011/08/06
in medio tutissimus ibis.
0
現代インドに人口の少なさに比して多大な存在感を持つシク教を成さしめた歴史的風土的経緯から、現代でいかにしてその立場を築くに至ったのかを解説する。と同時に、同じ西インドに勃興し衰亡した大乗仏教との比較も行う。両者の共通点は、インドとユーラシアの民族移動による軋轢含みの文化交流への対応としての普遍的=平等的=在家主義=聖典崇拝の教義の在り方である。それは、インド宗教風土の桎梏たるカーストへの反発でもあった。仏教はカーストに組み込まれるよりはイスラームに飲み込まれることを選択し、シク教は両者の相克から生まれた。2017/05/09