内容説明
森の中に、小さな、かわいいモミの木が、1本ありました。モミの木が立っていたのはすばらしいところでした。お日さまの光を、いっぱいあびることができましたし、そよ風が、じゅうぶん、ふきわたります。それに、小さなモミの木のまわりには、マツやモミの、背の高い仲間が、おおぜいいてくれたのですから。ボローニャ・ブックフェア特別賞受賞のシリーズ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キジネコ
57
森に生まれた一本のモミの木の物語。モミの木自身が静かに語り掛けます。森の仲間たち、鳥や風や野兎たちのことを 語ります。旅立つ大きなモミの木の将来を夢見たり、自身の未来について希望を語ったり… その日のためにモミの木は一生懸命大きくなり美しい立派なモミの木に成長しました。そしてクリスマス前夜… というアンデルセンの御話。森に佇む幼子。擬人化されたモミの木の役割を担う その子の胸に去来する思いが切ない。私たちも又、美しい森に生まれた一本のモミの木なのだと物語は暗示します。今日を叶う限り楽しめと教えます。 2019/06/03
小夜風
21
【図書館】写真絵本。モミの木役の男の子が可愛いので、「年よりのモミの木さん」のイメージが沸き難かったですかね。凄く可愛いモミの木でした。過ぎてから気付くのではなく、今目の前にある幸せを大切にして生きていきたいですね。2015/07/06
花林糖
8
(図書館本)マルセル・イムサンドの写真絵本。写真がモノクロのイギリス映画を観ている様な感覚になりました。最後は切なく悲しい...。このシリーズ全巻読んだけれど、当たり外れ(挿絵)があってそれも面白味ってことかな。2015/07/30
遠い日
6
西村書店の「ワンス・アポンナ・タイム・シリーズ」は、テクストよりもそのイラストが楽しみ。この『モミの木』は写真で構成され、若いモミの木の内面を浮き彫りにすることに成功している。幸せとは何かをストレートに問いかけるお話に、モミの木の独白が重なる。今自分がいる場所、自分の立ち位置。憧ればかり募らせて、それをきちんと見てこなかった苦い後悔。わたしたちに静かに教えてくれる幸せのあり方。2022/04/10
ツキノ
6
図書館の書庫の絵本・児童書を読もうキャンペーン・221 ワンス・アポンナ・タイムシリーズ。アンデルセンにこんな作品があったとは。さらに凄いのは写真絵本(マルセル・イムサンド/リタ・マーシャル)であり、モミの木がちいさな子どもとして擬人化!されているところ。切られて担がれている姿なんてなんともいえない。モミの木の一生を描いたもの。クリスマスも当然登場するけれど、クリスマス絵本とは言い切れないような。2017/12/20