内容説明
自己、伝統そして越境、一と多を巡る葛藤と交響。自らの「境界」探索による自己確認の行為は、同時に「越境」による自己変容の誘いだ。現代芸術における「独自」と「多様」の激烈な相互作用。日本学術振興会人社プロジェクトの成果。
目次
はじめに 境界とアイデンティティ、あるいは「一」と「多」の倫理に向けて
1 伝統を求めて(伝統はどのように伝えられるのか?;伝統は誰のものか?;伝統芸能は記録できるのか?;音楽・芸能への「思い」は記録できるか?―『大阪のエイサー』の制作と上映をめぐって;伝統意識はどのように伝統と創造)
2 私とは何か?(人はなぜ自伝を書くのか、読むのか?;人はなぜ、ときに「他者」を「自己」のあらわれとみなすのか?;人はなぜ自画像を描くのか?;人はどのように自画像を描くのか?;陶酔する室内空間と電脳空間)
3 境界を超えて(「祖国」って持ち運べますか?;都市の境界線―プラハのモニュメントをめぐって;翻訳という越境;「方言」は「言語」になれないのか?;文学は世界の闇をどのようにとらえるのか?;《シンポジウム》未来への郷愁―超え行くもの/とどまるもの)
著者等紹介
沼野充義[ヌマノミツヨシ]
1954年生まれ、東京大学大学院人文社会系研究科教授。専攻:ロシア東欧文学、現代文芸論。主要著書:『徹夜の塊 亡命文学論』(作品社、2002年、サントリー学芸賞)、『徹夜の塊 ユートピア文学論』(作品社、2003年、読売文学賞)他(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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