出版社内容情報
『文藝春秋』2009年6月号「BOOK倶楽部」より
「メディア革命」とは中国の明朝末期に多くの書物が出版されるようになったことを指す。それは日本の図書館においても,それらすべてを貴重書扱いできなくするほど爆発的な分量であった。・・・略・・・こうした変化を支えたのは,当然ではあるが購買層の増加であった。皇帝を頂点とする官僚・地方の有力者・大商人ら支配階層はいつの時代も書物の購読者であった。・・・略・・・正史『三国志』は明末に『三国志通俗演義』となって初めて人々に受容され,愛好された。・・・略・・・庶民が本を盛んに読み始めるのは,日本では中国より百年以上遅れた江戸時代の中期以降のことであった。・・・略・・・文化とは何かを,発信する側ばかりではなく受け取り手の側から再考してみる。それはまことに興味深い作業である。本書はその際の、実に確かな足がかりを提供してくれる。 (評者:本郷和人)
内容説明
ひとことで言えば「多・大・速」。書物の多様性、大規模企画の出現、出版速度=スピードアップ!明代末の嘉靖元年=1522年以降の中国でメディア革命が実現。絵入りの『三国志演義』『水滸伝』『西遊記』…を庶民が読み始めた。
目次
第1章 中国書籍史における明末(「陀羅尼」に始まる印刷;仏教の世界と印刷術 ほか)
第2章 書物の形態の変化―線装の成立(紙の発明;書物の形態と印刷術の発明 ほか)
第3章 図像の氾濫(文集の肖像;画本の時代 ほか)
第4章 小説の爆発(中国における虚構作品の成立;小説批評の誕生 ほか)
終章 出版と明末社会(明末出版の「多」「大」「速」;董家焼き打ち事件 ほか)
著者等紹介
大木康[オオキヤスシ]
1959年横浜生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程(中国語中国文学専門課程)単位取得退学。博士(文学)。東京大学東洋文化研究所助手、広島大学文学部助教授、東京大学文学部助教授、同東洋文化研究所助教授を経て、東京大学東洋文化研究所教授。専門は、中国明清時代文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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