世界史の鏡<br> 本を読むデモクラシー―“読者大衆”の出現

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世界史の鏡
本を読むデモクラシー―“読者大衆”の出現

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  • サイズ B6判/ページ数 151p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784887085039
  • NDC分類 019.02
  • Cコード C1322

出版社内容情報

『図書新聞』2008.5.24書評より
本書はまず、「読むこと」の歴史について知りたいと考える読者にとって、平易でありながら、それでいてよく練られた良質なガイドブックの役割をはたすだろう。(略)部隊は9世紀フランス。そこでは「読むこと」が爆発的に普及する。(略) それまで一部の階級に占有されていた「読むこと」が開放され、さまざまな階層へと広まり、ひとびとが多様な仕方で「読むこと」を実践することになる。それが「読むこと」の民主化である。(略) さらに近世日本の貸本屋と比較し、その共通点と差異を抽出してゆく。(略) 著者は最後に、文献史料の不在という与条件を逆手にとって、新たな手法を提案する。それは「聞き書き」である。(略) 著者はただこの手法の有効性を説くだけでなく、実際にそれを実践してみせる。探求を自らの実践をとおして語ること。その態度をもし知的誠実さとよぶのなら、それこそが本書の性格を決定づけている力にほかならない。

『学鐙』2008年夏号Vol105No.2書評より
印刷媒体が民衆のものとなり「読書がひとつの必需品」(バルザック)となってゆく西欧の19世紀は、「活字メディアの世紀」「本や新聞を読むデモクラシーが開花した世紀」といえる。本書は、識字率、読書室、新聞連載小説、文学市場、読書する女性などのテーマを取り上げ、フランスを中心に、人々の身のまわりに、日常的に、書かれたものがあふれるようになった時代の「読みの世界」をふりかえる。

『西洋史学』No.234 「書評」より(1009.9.30)                 (評者:森原 隆)
近年,フランスのアナール学派の流れをくむシャルチエやアメリカのダーントンなどの研究が相次いで翻訳され,いわゆる「書物の社会史」が社会史研究のなかでも重要な研究領域となっている。本書はわが国のこのような研究の先導役,紹介者としての役割を果たしてきた著者が,おもに19世紀フランスを舞台にとくに「読者の社会史」の観点から,一般向けにいくつかのトッピクをとおして語りかけたものである。本書はいわゆる学術専門書ではない。2007年11月から樺山紘一編『世界史の鏡』シリーズ (刀水書房) の刊行が開始されたが,本書はそのうちDグループ「情報,コミュニケーションが歴史をつくる」の一冊としていちはやく出版されたものである。・・・(構成と内容の紹介) 略・・・本書を通してまず感じられるのは,著者の語りの滑らかさと問題関心の鋭さや拡がりである。一般読者や学生を対象とした本シリーズの趣旨に沿ったものであるにせよ,平易で親しみやすい文体は,読者を抵抗感なく19世紀フランスの書物や読書の世界に誘引し,最後まで一気に通読させてしまうだけの魅力がある。一方で書物の社会史研究に裏打ちされた基本的な資料やデータがおさえられており,また独自の調査・分析や視角の展開があって,文学者の書いた文章にありがちな主観性や誇張も抑えられている。ただ,全般的には当時政治史や社会・経済史との関連で論じられることが少なく,社会史という歴史的コンテキストを重視する手法からみれば,物足りなさを感じるところもある。・・・略・・・本書は,一般読者向けのいわば啓蒙書であるので,このようなコメントは,望蜀のそしりをまぬがれないかもしれない。・・・以下略・・・

内容説明

西欧の19世紀は、活字メディアの世紀!本や新聞を読むデモクラシーが開花した。身の回りに“書かれたもの”が溢れるようになったこの時代、舞台はフランス。そして同時代の日本では…。「では、読書というブラックボックスを探る時間旅行にでかけるとしよう」。

目次

第1章 飛躍的に高まる識字率
第2章 「読書室」というインフラ
第3章 日本の貸本屋
第4章 新旧交代―「新聞連載小説」「青本」「カナール」
第5章 文学市場という「デモクラシー」
第6章 読書する女性という表象をめぐって
おわりに代えて―「徴候」、そして「聞き書き」という可能性

著者等紹介

宮下志朗[ミヤシタシロウ]
1947年東京生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。中央大学、東京都立大学などを経て、1993年より東京大学教養学部教授。現在、同大学院総合文化研究科教授(言語情報科学専攻)、放送大学客員教授。専門は、ルネサンス文学・書物の文化史。著書に『本の都市リヨン』(1989年、晶文社、大佛次郎賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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timeturner

7
この手の本としてはとても読みやすく面白かった。フランスに限られるものの、庶民と読書について多角的に考察されているので、ここから出発してさまざまな方向に進むことができる。個人的には近代英国における「読書の場」について知りたい。良い参考文献ないかな。2019/02/22

おっとー

7
対象になるのは本そのものの歴史ではなく、本を書くこと、読むこと、作ることの歴史。人は単に文章を読むのではない。読む場所は読書室なのか家なのか、本は借りるのか買うのか、連載なのか単行本なのか、黙読なのか音読なのかなどによって読み方が変わってくる。つまり、本の歴史では読まれ方を研究することも重要なのだ。今となってはオーソドックスな議論だけど、それを端的かつ明快に説明している。アナール学派やギンズブルクをはじめとする研究史を踏まえているのも好印象。ただなあ、読書の歴史は研究されすぎてもはや新鮮味に欠けるよね…。2017/11/29

Miss.W.Shadow

4
フランスの読書室を端緒に、「読書」という行為の民主化を読み解く。近代以降の歴史についてはまだ研究途上か。バルザックが、起業家として、現在の電子書籍やAmazonに通じる直接販売、通信販売のブッククラブを着想していたことはまさに温故知新というべき。2010/10/30

カラス

3
副題の『読者大衆の出現』がこの本の内容をもっともよく表している。読書という行為が大衆化してゆく時代を点描しており、体系的な記述ではないぶん読みやすく、歴史書というよりも手軽に読める歴史エッセイという感じだ。識字率・読書室・貸本屋・新聞連載小説、といった風に具体的なテーマに即して語るというスタンス。たぶんどの章から読んでも問題ない。2019/01/14

ぽんぽこ

2
フランスの読書の歴史についてわかりやすく解説してくれた本。挿絵も豊富でイメージもしやすく、平易な文章なので読みやすかったです。読書の歴史を通じて当時のヨーロッパの女性像や作家の苦悩(主にバルザック(笑))も浮き彫りになっていることが面白かったです。フランスにも、日本のカストリ本のようなものがあったのには驚きです。やはりどの国でも、どうしても本が読みたいと願う民衆たちがいたのですね。そんな共通点も見つかって、ますます面白かったです。2022/04/07

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