内容説明
「書は美術か否か」。小山正太郎と岡倉天心の論争を起点に、日中韓、そして欧米の研究者が「書く」ことの美を問う画期的論集。東西のまなざしの交差によって、東アジアの伝統文化を超えた“書の美”が立ち現れる。
目次
中国における書法の伝統(中国哲学における伝統の形成―文字学;“流日半巻本”により台北故宮博物院蔵“自叙帖”は懐素真跡に非ずを論ず;中国最大の奥書―579年に鐵山に刻まれた“石頌”;書法作品の中の運動と空間;美的カテゴリーとしての逸品―中国芸術論における書から絵画へ;現代中国における書の実験―徐冰の作品を例として)
新潟の書の伝統(良寛の書の特質と魅力;近代習字教科書における菱湖流と顔法―文字の学びやすさに着目して;會津八一の仮名書にみる伝統と革新について;江口草玄;現代の日本の書を考える)
韓国・日本における書の変容(韓国のハングル書芸について―ハングル書芸の変遷と中国書法との関係;韓国の芸術文化、その「モッ」の世界;中国書法の影響と和様の書;和歌をつむぐ書―仮名の詩情;アメリカにおける日本の書のコレクター―意味を超越した理解;戦後の日本前衛書道と欧米抽象絵画における余白の概念について;書と抽象絵画―1950年代の二つの実践)
共同討議 コンピュータ時代における書の可能性
ワークショップ報告 交流と理解のために