内容説明
独立回復とその後の国民国家としての社会統合にあたって、エストニアほど歴史認識と言語が重要な役割を果たした例は少ない。本書は、「歌う革命」とソ連邦からの独立回復、EU加盟にむかう政治過程をふり返るなかで、歴史認識・叙述がいかに政治に結びつきその政策を正当化してきたか、そして集団間の摩擦・衝突を引き起こしたかを検証し、歴史とシティズンシップの関係をさぐる。
目次
1章 歴史と歴史叙述
2章 ペレストロイカ期の歴史と政治
3章 歴史と法
4章 歴史と外交
5章 歴史とヨーロッパ化
6章 歴史とシティズンシップ
著者等紹介
小森宏美[コモリヒロミ]
1969年栃木県生まれ。現在、京都大学地域研究統合情報センター・准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ふみなし
2
かつて9割以上がエストニア人であった国民国家としてのエストニアが、悲劇的な歴史を経て、多様な人種・国籍・個人の記憶を持つ住民に対し「エストニア国籍を有する者」とは何なのか、また国としての歴史認識や姿勢(何をリスペクトするのか)を選び取っていく過程(むろん今も続く問題である)、またそれに付随する反対運動は、他人事には思えなかった。2017/08/26
1_k
0
どこの国でも複数民族が同居するともめるものなのね。エストニアの場合、明白に侵略されているわけだが、それでも進歩的な民族融和派()がいることに驚き。これでは日本の在日問題の最終的解決など何時まで経ってもできないわけだ。2011/11/12