伏流―金成太郎伝

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  • サイズ B6判/ページ数 398p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784882028673
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

アイヌで初めて小学校に学び、教員養成学校を卒業して教員免許を取得した金成太郎。英人宣教師バチェラーと共に相愛学校を設立したが夭折。太郎の一生を精緻に描いた伝記小説。


明治時代、幌別のコタンに金成喜蔵という人物がいた。太郎の父である。「金成喜蔵は七十有余にて性質正直にて和人、同族両者の間に勢力があり、徳望極めて高く、金成の言と言えば首を傾けぬ者なしとか。アイヌに稀なる財産家にして数多くの雇人さえ使役し漁獲、耕作等に従事し其の住家の如き、同村の和人の家に比するも上等の部に入るべき程にて、耶蘇教を信じ煙草一服、酒一滴も飲まず」(「北門新報」明治30・7・7)といわれた傑物だった。その子・太郎は、アイヌで初めて室蘭の小学校に学び、札幌の教員養成学校を卒業して教員免許を取得。教育の重要性を痛感してアイヌだけの学校をつくろうと政府に働きかけるが実現ならず。英国人宣教師ジョン・バチェラーと共に幌別に相愛学校を設立し、アイヌ語のローマ字教育などを試みた。しかし、志なかばにして夭折。本書は、波瀾にとんだ太郎の一生を精緻に描いた伝記小説である。

内容説明

金成太郎(一八六七(慶応三年)~一八九七(明治三十年))は、アイヌで初めて室蘭の小学校に学び、のちに札幌の教員養成学校を卒業して教員免許を取得した。太郎は、のちにアイヌ文化の存続に尽力することになる知里幸恵、知里真志保の親族である。アイヌの将来のため、アイヌだけの学校をつくろうと政府に働きかけたが実現にはいたらず、その後、英国人宣教師ジョン・バチェラーとともに幌別に相愛学校を設立。アイヌ語のローマ字教育などを試みるが、志なかばにして夭折した。アイヌ文化を長年研究してきた著者が、異民族と異文化の奔流に巻き込まれたアイヌの苦境と希望の象徴である太郎の一生を精緻に描く。

目次

冬の虹
赤い星
湯の滝
支配地罷免
札幌本道
改名される
室蘭常磐学校入学
向学
請願
アフンパル(入る・口)
天ニゾノボラン
アイヌ教育会社
風波
愛隣学校
悪魔(ウエンカムイ)
別離
残された者たち
流星
不帰の旅路

著者等紹介

富樫利一[トガシトシカズ]
昭和7年北海道夕張郡栗山町に生まれる。夕張北高校卒業後、教員生活(20年)を経て登別市役所勤務(20年)。同所退職、今日に至る。「知里真志保を語る会」会員
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