出版社内容情報
泥沼化するイラク戦争。湾岸戦争以後のあるクルド人家族の生き方を通して、国なき民の苦難とイラク戦争の側面を描く。朝日新聞連載に加筆、解説を加えた。写真多数。
「クルド人は独自の言語・文化を持つ民族だが、祖国を持たない。ほとんどがイスラム教徒で、このうち4分の3はスンニ派、残りの大半がシーア派の12イマーム派とされる。トルコ南東部からイラクの北部、イラン北西部にかけてが主な居住地である。クルド人はそこを「クルディスタン」(クルドの土地)と呼ぶ。正確な人口は不明だが、約2500万人と推定されている。
本書の正人公は、クルド人のアハマドー家である。一家の味わった苦難は、イラクのクルド人の歴史に重なる。彼らの歩みを通じて、イラク戦争のもうひとつの側面がみえてくるだろう」 ──本書「プロローグ」より。
内容説明
終わらないイラク戦争…。湾岸戦争で蜂起したクルド民族は、フセイン政権の崩壊で自由を手にしたかにみえたが…えない戦火のなかの国家なき民の苦闘を描く、ある家族の物語。
目次
第1部 封印された民族(故郷は荒れ地に;釈放の朝;村ごと破壊 ほか)
第2部 フセイン後のイラクで(銃口の壁が消えた;激減した移民ブローカー;商売敵 ほか)
第3部 さまよえるクルド人(オランダで亡命生活;弾圧を逃れ国外へ;難民申請して働く ほか)