ビルマの日々 (新装版)

ビルマの日々 (新装版)

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  • サイズ B6判/ページ数 386p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784882025214
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

英領植民地ビルマで、オーウェルが目撃したものは?「敗者」を描く自伝的デビュー小説。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

114
オーウェルの処女小説。『1984』や『動物農場』より素直で読みやすい。1934年に出版されたからか…、彼が批判するのはソ連ではなく、大英帝国であり、その下にあるビルマの人々。自国には居場所がなく、今更帰国もできない者たちがほとんどのイギリス人たちはふんぞり返っている。ビルマ人は、侮蔑の視線を浴びながらも、イギリス人に寄りかかり彼らから搾取する。唯一ホッとするのが、現地人の医師とフローリの友情だが、そこで花開くには純であり過ぎたのだろうか。俗な精神と暮らしへの痛烈な批判が全体を貫く。2016/06/09

まふ

111
著者の処女作。英国植民地主義の感覚に麻痺した高慢な英国人たちとひらすら阿ねり従うだけの現地人との確執の物語。主人公フローリは現地人の蜂起を鎮圧する英雄となるが現地妻を無情に追い出して想い人エリザベスに嫌われる。全体はビルマ人を下等人民とみなす人種差別主義に覆われて読み心地が極めて悪い。主人公フローリの悩みが結局は個人的なものであることが、この小説を今一歩普遍的とさせない所以ではないかと思ったりした。どうしても「ロードジム」をはじめとするコンラッドの諸篇と比較してしまった。G1000。2023/10/17

syaori

75
舞台は英領インド帝国のビルマ。物語は主人公フローリのロマンスと彼の現地人の友人に関する現地社会の陰謀が平行して進みます。フローリは「搾取を伴う独裁」である英領インドを憎みながらも、それを是とする白人の掟に「流され腐っていく自分」に焦りを感じる人物。同時に現地妻を持つ「立派な白人」でもあって、それが結局は彼を破滅へ導くのですが、そのことは良心の呵責を感じた時に強調される彼の醜い痣に象徴されているように思います。そしてそれは、何と戦うこともせずビルマを去った作者に刻印されたものでもあるのだろうと感じました。2024/02/06

あなほりふくろう

30
中年男の純情が散々振り回された揚句……な話だが、まあフローリも線が細すぎたし、多分に自業自得。気候も風土も知らない本国人であるエリザベスに同情の余地なしとは言えないが、応援できない恋ではあった。むしろ興味深かったのはやはり支配・被支配の空気か。本国から離れて行き場のない支配層の横暴に、被支配層の卑屈さと、でも阿り上手く立ち回る小狡い輩もいて。支配層がこんなだから被支配層はこうなったのか、それとも。著者の筆致が精密で非常にしっかり描かれており、高温多湿の熱気に乗せてその絶望と憤りがひしひしと伝わってくる。2016/08/07

かんやん

11
このくそ暑い時期に読む本ではなかったかな(笑)英領インドの属領ビルマ(ややこしいな)を舞台にした蒸し暑い恋愛小説。とにかく出てくるキャラがみんな不快な人物ばかりで、現地人を見下し切った英国人(アル中か色情狂かレイシスト) 、うまくとりいって私腹を肥やす現地人、西洋文明に心酔して自国をこき下ろすインド人医師、差別に反対するが自己主張できないのにますます孤立する主人公、みんないやーな感じ。そこへ容貌が十人並みで凡庸なヒロインが婿探しに本国からやってきて…こんな恋愛うまくいくわけがありません。この二人のスレ違い2015/07/30

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