出版社内容情報
公共文化施設の役割とは何か。地域と市民社会の形成に公共劇場が果たすべき役割と使命を考察する。
公共文化施設とは固有のプロデュース機能を備えた舞台芸術施設であり、それは長期的な教育事業や前衛的・実験的芸術への支援なども大きな役割のひとつである。
しかし運営と発展には多額の公的助成が必要となり市民らの合意が不可欠である。本書では地域と市民社会の形成に公共劇場が果たすべき役割である「公共性」が、個人と社会の関係を安定的・持続的に紡ぎ、「新しい公共」をつくるという観点から、公共文化施設の本来の使命を多方面から考察する。
序 章 公共文化施設の公共性を問う
■1部 公共文化施設の運営から考える「公共性」
第1章 文化施設が「公共的役割」を果たすために何が必要か
第2章 公共劇場の「公共性」評価の手法・基準と課題
第3章 パブリックシアターの組織運営
第4章 芸術監督と「公共性」
■2部 地域社会との新たな連携がつくる「公共性」
第5章 ホールボランティアの可能性と課題
第6章 さきらジュニアオーケストラ・アカデミー(栗東芸術文化会館)の挑戦
第7章 オルタナティブスペース
第8章 公共性の観点からアートとコミュニティについて考える
■3部 「公共性」の歴史的変容と国際比較
第9章 京城府府民館と「公共性」
第10章 フランスにおける文化施設の公共性
第11章 フランスの「公共」をすり抜ける在仏アルメニア学校の可能性
第12章 ドイツにおける公共劇場の成立史と現状の課題
終 章 文化政策の公共哲学のために
※目次は変更となる場合がございます。
【著者紹介】
神戸大学大学院国際文化学研究科教授。同大学院異文化研究交流センター地域連携部長。平成19年度より、文部科学省・現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)「アートマネジメント教育による都市文化再生」事業推進責任者。専攻:ドイツ哲学・思想史、音楽文化論、文化政策学、アートマネジメント。
現在、文化経済学会<日本>理事、日本文化政策学会理事、日本ワーグナー協会理事他。
内容説明
文化施設の「公共性」は芸術を通して人々が地域社会と連携することから創出される。本書は「新しい公共」を連携し、ともに紡ぎあげるべく、公共文化施設の本来の使命を実現することをめざし、現実の諸問題の原因を追求。課題解決への勇気を与えるための「実践知」を探った。
目次
公共文化施設の公共性を問う
1部 公共文化施設の運営から考える「公共性」(文化施設が「公共的役割」を果たすために何が必要か―兵庫県立芸術文化センターを例にした周辺施設へのヒアリング調査から;公共劇場の「公共性」評価の手法・基準と課題―兵庫県立芸術文化センターを事例として ほか)
2部 地域社会との新たな連携がつくる「公共性」(ホールボランティアの可能性と課題―パティオ池鯉鮒(知立市文化会館)の事例を通して
まちづくり、ひとづくりへの挑戦―さきらジュニアオーケストラ・アカデミー(栗東芸術文化会館さきら) ほか)
3部 「公共性」の歴史的変容と国際比較(京城府府民館と「公共性」―植民地朝鮮に建設された公会堂;フランスにおける文化施設の公共性 ほか)
文化政策の公共哲学のために
あとがきに代えて―劇場法再考
著者等紹介
藤野一夫[フジノカズオ]
1958年東京生まれ。神戸大学大学院国際文化学研究科教授。同大学院異文化研究交流センター地域連携部長(アートマネジメント部門)兼任。専攻:ドイツ思想史、音楽文化論、文化政策学、アートマネジメント(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。