出版社内容情報
有名・無名な詩人たちの作品から成る本集成の第2分冊には、前分冊所収の恋愛詩と並んで全体の中枢をなす碑銘詩・哀悼詩などを含む第7~8巻を収める。実際の墓石に刻まれた墓碑銘から架空の、往昔の著名人や伝説上の英雄たちのための哀悼詩にまでおよび、古代ギリシアにおける市井の人びとの死生観を窺わせる。本邦初完訳。[全4冊]
内容説明
サッポーから古代後期まで、哲学や英雄詩では窺いえぬ市井の人びとのさまざまな死とその悼み。本邦初完訳。
目次
第7巻 碑銘詩・哀悼詩
第8巻 ナジアンゾスのグレゴリオス作のエピグラム集
著者等紹介
沓掛良彦[クツカケヨシヒコ]
東京外国語大学名誉教授。1941年長野県生まれ。1965年早稲田大学第一文学部ロシア文学科卒業。1971年東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。文学博士。大阪市立大学講師、東北大学助教授、東京外国語大学教授を経て2003年退官(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
9
個々の感情を通すと、死なる出来事の書き方は一様ではない。古代ギリシアの碑銘詩、哀悼詩を750編収めた本書は、スパルタの戦士を英雄として讃え、幼くして死んだ我が子への悲哀を記し、蝉やキリギリスの死も認める。中には『糸巻竿』で著名な女流詩人エリンナの詩の断片も含む。一方本書は、生者の感情によって悲しみに彩られる死を、死者とのやり取りによって滑稽さや奇怪さに変える。死者は大いに語り、悲しみに暮れる生者の世界を嫌悪や冷淡の情で滑稽に批評する。後半は古代末期のギリシア教父ナジアンゾスのグレゴリオスの詩作を収める。2022/07/09