内容説明
古来ホメロスに比肩する詩聖と謳われた叙事詩人に帰せられる全作品を収録。その大半が本邦初訳となるヘシオドス決定版。
目次
証言
『神統記』
『仕事と日』
『ヘラクレスの楯』
断片(『名婦列伝』;『大エーホイアイ』;『ケユクスの結婚』;『メランプス物語』 ほか)
著者等紹介
中務哲郎[ナカツカサテツオ]
京都大学名誉教授。1947年大阪市生まれ。1975年京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。京都産業大学助教授、京都大学教授を経て2010年退職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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春ドーナツ
16
***偉大なるゼウスから生まれた九人の娘たち、それは、/クレイオにエウテルペ、タレイアにメルポメネ、/テルプシコラにエラト、ポリュムニアにウラニア、/そしてカッリオペ、(・・・)「神統記」***脚注を見る。詩は声に出して読むとその真価を発揮するのねと合点する。「九人の名前はいずれも「同前」でこれまで使われた単語の音を響かせる。およその意味は、歌い広める、愉楽、宴楽、歌、歌舞の喜び、愛らしい、多くの讃歌、天空、美しい声、これらを女性名らしく作ってある」今。喫煙席にいるのは私ひとり。まずは氷水で喉を湿らせて。2019/06/12
roughfractus02
7
変容が喪失を伴うと崩壊となる。紀元前8世紀に生きた著者は、互酬的社会だった共同体の崩壊を貧窮した男に託して神の正義と労働を賛美する歌に記し(『仕事と日』)、神々と人間が分たれて世界に季節が生じて厳しい夏と冬が訪れるようになる転換期をトロイア戦争に見る(『名婦列伝』)。世界は歪み、崩壊しつつあり、人々は互いに争うが、それら全てを神は見ていると信じる著者は、神の系譜を遡り、宇宙の支配者がウラノスからクロノスへ、そして神と人間が婚姻し交流したゼウスの時代の痕跡を、崩壊するこの世界に見出そうとする(『神統記』)。2022/06/08
星規夫
1
『仕事と日』(または『労働と日々』)の、宴会についての一節でヘシオドスは「持ち寄りの宴会は、歓楽は最大、出費は最少だ。」と述べている。古代ギリシャの偉大な詩人は宅飲み派だった。2015/09/28
保山ひャン
1
紀元前8世紀のヘシオドスの現存する作品(断片も!)と、ヘシオドスについての言及を集めた1冊。『神統記』(神々の叙事詩)『仕事と日』(寓話や、農業のノウハウなど)『ヘラクレスの盾』、そして断片では『名婦列伝』『大エーホイアイ』『ケユクスの結婚』『メランプス物語』『ペイリトオスの黄泉降り』『イダ山のダクテュロイ』『ケイロンの教え』『メガラ・エルガ』『アストロノミアまたはアストロロギア』『アイギミオス』さらに、場所が特定できない断片や、疑わしいものまで。固有名詞の大嵐である。2014/08/28
暁
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