内容説明
クインティリアヌス(後35頃‐100年頃)はギリシア・ローマの弁論術、修辞学を大成した人として名高い。本書はクインティリアヌスの大著『弁論家の教育』全12巻の初の全訳である。キリスト教徒や文人の間で読み継がれていたが、ルネサンス期に完全な写本が発見されたため、近代以降においてもその教育理念は広く受け入れられた。第2分冊はその第3巻から第5巻まで収載する。
目次
第3巻(第3巻の展望;弁論術の起源;弁論術の五つの部分 ほか)
第4巻(序論;陳述;脱線 ほか)
第5巻(技術的な立証と非技術的な立証;予審;噂 ほか)
著者等紹介
森谷宇一[モリタニウイチ]
大阪大学名誉教授。1940年京城生まれ。1971年東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。東北大学助教授、大阪大学助教授、教授を経て2004年退職
戸高和弘[トダカカズヒロ]
大阪大学非常勤講師。1960年福岡県生まれ。1991年大阪大学大学院文学研究科博士課程修了を経て現在に至る
渡辺浩司[ワタナベコウジ]
大阪大学助教。1962年東京都生まれ。1998年大阪大学大学院文学研究科博士課程修了。大阪歯科大学非常勤講師、大阪市立大学非常勤講師を経て現在に至る
伊達立晶[ダテタツアキ]
同志社大学文学部准教授。1966年大阪府生まれ。2002年大阪大学大学院文学研究科博士課程修了。2008年現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roughfractus02
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徳(virtus)を再構築する弁論術とはどのようなものか? 著者は当時の裕福なローマ人がギリシア人の家庭教師を雇い、ギリシア語とその教養を教えるという教育システムから、ギリシアの弁論術を子供の頃から暗記させるというやり方を提案する。一方、暗記期間を長く設定せず、学校ではラテン語で子供の意見を聞く機会を設けたという。キケロは弁論術を市民の知識と捉えたが、著者はこの術を5つに分けて勝敗を決する法廷弁論と他の弁論を区別した。教育実践では、勝敗を目的とする弁論以外の日常での弁論の諸要素が多くを占めることがわかる。2022/08/05