内容説明
ギリシア音楽の理解のために必須のハルモニア論(音階理論)を収載する。アリストクセノス(前4世紀)は、音程を数比だけで決めるピュタゴラス派の方法論を排し、耳で聴いた音をもとに音階理論を確立した。ピュタゴラス派の系譜に属する古代随一の天文学者でもあるプトレマイオス(後2世紀)は、アリストクセノスを批判的に継承し、西洋クラシック音楽への展開の契機をなした。古代劇や抒情詩の表現には欠かせないギリシア音楽を体系的に理論づけた作品。西洋音楽論の古典的名著。
目次
ハルモニア原論(アリストクセノス)
ハルモニア論(プトレマイオス)
著者等紹介
山本建郎[ヤマモトタツロウ]
秋田大学名誉教授。1940年東京都生まれ。1969年東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。1999年文学博士(筑波大学)。秋田大学講師、助教授、教授を経て、2006年退職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roughfractus02
7
調和(ハルモニア)の女神ムーサから取られたムーシケーは、祭祀に関わる詩、音楽、舞踊をを指したが、その後この語が音楽のみを指してもその本質は継承される。天界の調和の模倣として数比から音楽を捉えたピュタゴラス派の説を採るプラトンは、調和を世界を構成する理念(イデア)と捉える一方で、アリストテレスは感覚を通して人間経験における調和から音楽を捉えた。本書は、後者の弟子アリストクセノスの全音から成る帰納的な平均律によるオクターブ理論と、ピュタゴラス派を継承したプトレマイオスの演繹的な純正律によるその批判を収録する。2022/07/30