「存在論的ひきこもり」論―わたしは「私」のために引きこもる

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  • サイズ B6判/ページ数 267p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784876722938
  • NDC分類 367.6
  • Cコード C0036

内容説明

引きこもる人間に対する否定の重包囲網を、たった一冊の本が壊滅させた。今後、本書を読まずして「ひきこもり」は語れない。

目次

はじめに―肯定性へ向けての新しい道筋
1 「ひきこもり」がなくなるとき(否定の視線について;幸福の条件をめぐって;「存在論的ひきこもり」論;長期に引きこもっている人が家庭内殺傷事件を起こしやすいのか)
2 二〇〇〇年代とひきこもり(引きこもる若者たちをとりまく今;本や映画から「ひきこもり」を読みとく;『IRIS』編集局インタビュー・しんどいけれど踏みとどまって「考える)
3 否定的「支援」の身勝手さ(「支援」についてのノート;「善意の道は地獄へ通ずる」ということ;長田塾事件裁判への意見書)
4 「ひとり」の深さについて(ニートの社会学;「ひきこもり」と「アノミー」;人はひとりで生きていかれるのか;文学のなかのモラトリアム青年)

著者等紹介

芹沢俊介[セリザワシュンスケ]
評論家。1942年東京生まれ。上智大学経済学部卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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ゆう。

39
肯定的まなざしに基づいた存在論的ひきこもり論を提起することで、著者が否定性であるとする社会的ひきこもり論を批判し、ひきこもりとは何かを示そうとした書だと思います。ひきこもり事態を否定せず、その人の今のあり様をそのまままるごと認めることは大切だと思います。そこからその人らしい生き方をその人ができるように支持的に関わる支援が大切だと思うからです。同時にひきこもりの社会性をみる必要もあるでしょう。社会的ひきこもり論を真っ向から否定するとその社会性はどうなるのかなと思いながら読みました。刺激的な内容でした。2018/08/01

酩酊石打刑

5
「する」「できる」自己から「ある」自己へ。その自己を承認してくれる「受けとめ手」の存在。「自分探し」「自己実現」「社会に役立つ人材」以前であるならば「末は博士か大臣か」といった「~になる」ことを求める社会、それに対して「~である」でいい。それが成り立つのは、最低一人の理解者、承認者。そんなことを常々考えていたので、すんなりと入ってきた。2012/09/05

ヨミナガラ

4
“ちなみに登校拒否する子どもを治療の対象であるとして最初に社会に向けて公言したのは稲村博であり、同様、引きこもる若者たちを治療の対象であるとして最初に社会に向けて公言したのは斎藤環である。この絶妙の師弟コンビ!”2014/04/15

たしかにわたしがうえのです。

3
p.81.f「私なりの答えを示せば、「ある自己」を成り立たせていた内なる「環境と他者」への信頼ということになります。それが損傷し、崩壊(崩壊の危機に瀕した)したのです」。バックグラウンドとしてのウィニコット。2014/01/26

tnk.UZ

3
人の「行為」の前提ともいえる人の「存在」を肯定的に考えた場合には、いかなる行為であっても否定的に考える必要はない、ということ。著者曰く引きこもりの当事者にも読んで頂きたいとのことであるが、自殺念慮者や社会主義者的思想の方、ひいては福祉に関わる方々にとっては良本とも言えると思います。2011/06/29

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