内容説明
『福沢諭吉全集』21巻から、朝鮮・中国に関する発言を洗いだし、そこに貫流する蔑視と偏見、帝国主義的指向を直視することにより、丸山真男はじめ先行研究がつくりだした“福沢神話”を根底から打ち砕く問題作。
目次
序章 福沢諭吉研究の七不思議(帝室「政治社外」論と“天皇の海外出陣”提案;定式「一身独立して一国独立する」の誤読 ほか)
第1章 初期啓蒙期の福沢諭吉の国際関係認識―丸山真男「福沢諭吉論」を検討する(「傍若無人」「切捨」御免「無情残刻」「パワ・イズ・ライト」の国際関係;初期啓蒙期の国際紛議―台湾出兵と江華島事件 ほか)
第2章 中期の福沢諭吉=保守思想の確立―壬午軍乱・甲申政変・「脱亜論」(保守思想への過渡期―『通俗国権論』と『民情一新』;保守思想の確立―『時事小言』と『帝室論』 ほか)
第3章 日清戦争期の福沢諭吉―朝鮮王宮占領・旅順虐殺事件・閔妃殺害・台湾征服戦争(福沢諭吉の戦争キャンペーン―居留人民の保護という口実;再び「文明史観」による侵略の合理化 ほか)
終章 アジア太平洋戦争への道のり―福沢諭吉に敷設された「暗い昭和」への軌道(最晩年の福沢諭吉;アジア太平洋戦争への道のり―「明るくない明治」から「暗い昭和」への道 ほか)
資料 福沢諭吉のアジア認識の軌跡
感想・レビュー
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がんぞ
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「15年戦争」など左翼用語を使うと思えば、「諭吉はアヘン戦争の結果を『国際的に認められた』と侵略を肯定」など、(私も不当な戦争理由だとは思うが)現在の立場から条約を(帝国主義だからという事由で)認めない中華絶賛。帝国主義の評価は?奴隷的行使された一般民が大多数であった朝鮮半島の開化をもたらしたのは誰か?など国境を超えると共有しがたいものがあるが、民間人の福沢を侵略肯定とレッテル貼りして評価しないというのは慶応学閥に喧嘩売っているのであろうか?大清帝国はまだしも、李氏朝鮮まで文化的存在と評価は大甘の夜郎自大2015/07/05