著者等紹介
杣田美野里[ソマダミノリ]
写真家、1955年東京都八王子市生まれ。植物を中心とした自然写真を撮影。最近は礼文島の高山植物を題材にしたエッセー、短歌も発表している。夫の宮本誠一郎と共著で、利尻礼文サロベツ国立公園の自然解説ガイドの著作も多い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
121
礼文島在住の写真家である作者さんの遺作となった本書。肺がんと戦われ、タイトルにもあるとおり、キャンサーとして最後まで貫きとおしたその意志は写真からも十分に伝わります。がん患者として、思いも色々とあろうかと思われますが、印象的だったのは入院生活時でのエピソード。乳ガンを患っていた同室の方が退院されるトキに「またね」とお声がけしたら、『私たちに「またね」はあるかどうかわからない』と。また同じ部屋で六人での入院生活をしていた方との写真を撮ったら二人が亡くなったと風の便りできいた話など、涙する話がありました。2021/11/23
Mark
20
礼文、利尻を美しい写真で紹介してくださっていた著者のことは存じ上げておりましたが、お亡くなりになったとは・・・遺作となってしまったこの本とともに、両島を歩こうと思っています。 合掌2022/06/26
fubuki
10
読了と言ってもいいのか。ずっと積読だった。時々開いてみた。ようやく最後まで読んだ、見た。彼女には島があって、花があって、家族があって、仲間があって、仕事があって、詩があって。どれも「その時」を留めておくための素材だったように感じた。そしてこの本を書き終え、永遠の命を授かったのかもしれない。記録にも記憶にも残る一冊だ。2022/05/04
とまと
8
がん闘病中の著者によるフォトエッセイ。ワタシもがん患者でしたが、この言葉は苦手でした。突然悔い改めてヒトの為にと立ち上がることはしません。何も変わらないと思っていました。周りの助けに感謝しましたが、他の病でも同じように思ったでしょう。差別されているような気持ちになりました。ギフトはいらないから、なりたくなかったというのが正直な気持ちです。苦手なキャンサーギフトの本を手に取ったのは、美しい写真に惹かれたからです。眺めていると、植物への繊細な視線に心を打たれます。キャンサーギフトってあるかもしれないな。2022/01/11
古本虫がさまよう
7
写真集。文章も多め。「キャンサーギフト」は「がんになったからこそ受け取れるもの」。ガンになって「あっ、これかもしれない」と思うような出来事があったそうな。それは本を読んでもらうとして。「がん患者であることは、けっして幸せなことではありません。でも、命の期限を知り、いろいろなことを諦めたその後で、当たり前と感じていたものが輝きを増すことがあるのだと思います。そのほんの小さなギフトたちは、形は違っていても、誰にもきっと降りてきます。これが、私の見つけたキャンサーギフトの正体です」昨年8月の刊行。10月に死去。2022/02/01