内容説明
自然のなかを歩きまわり、気にいったものすべてを集めてスケッチしていた少女のころ。ビアトリクスは動物の骨までせいかくに描こうとしました。やがてキノコにむちゅうになり、研究をかさねて論文を書きましたが…。ピーターラビットの絵本作家、ビアトリクス・ポターの知られざる一面に光をあてた伝記絵本。
著者等紹介
メトカーフ,リンゼイ・H.[メトカーフ,リンゼイH.] [Metcalf,Lindsay H.]
ジャーナリスト、ノンフィクションの絵本作家。アメリカのカンザス州の田舎で暮らしている
ウー,ジュンイ[ウー,ジュンイ] [Wu,Junyi]
イラストレーター。アメリカのカリフォルニア州で暮らす。ニューベリー賞オナー作品『Scary Stories for Young Foxes』(未訳)のイラストを担当
長友恵子[ナガトモケイコ]
翻訳家、エッセイスト。訳書に『中世の城日誌』(産経児童文化出版賞JR賞)など。紙芝居文化の会運営委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かもめ通信
24
あのピーター・ラビットの作者が実は、“担子菌類の胞子を発芽させた最初のイギリス人のひとり”だった!いきいきと描かれる好奇心旺盛な少女時代に感嘆しつつも、愛らしいピーターラビットを描いたというだけでなく、女に生まれたが故に、学ぶことにも、仕事を持つことにも、多くの制約が設けられ、どれだけ努力しても認められなかった時代に、いろいろなことをあきらめながらも、できることをみつけ、牧羊業を営み、自然保護の活動をおこなったビアトリクス・ポターという作家の生き方そのものにも興味がわいてくる1冊。2021/10/31
おはなし会 芽ぶっく
12
ピーターラビットの作者だということは知っていましたが、きのこの研究をしていたとは初耳。女性がまだ社会に認められていない時代のおひとり。リンネ協会が謝罪を表明したのは1997年、ポターが亡くなってから50年以上後のこと。彼女のように別の道で成功?された方もいれば、道を断念した女性たちも多いはず。先人の歩いた道のおかげで、今の女性たちの道は開けている。(まだまだですがねぇ)2022/03/06
みよちゃん
12
キノコの研究は知っていたが、きっかけのエピソードは忘れていた。英語版のキノコの本持っていますが、写真が豊富で、絵本の方は簡単すぎて。もっとピーターラビットの世界が描いてあればよかったのに。2021/09/03
遠い日
12
ビアトリクス・ポターの伝記絵本。他の本で知ったことばかりだったけれど、裕福な家に生まれても女性は学ぶことを許されず学校には通えなかったという時代の不幸を残園に思います。独学でキノコの研究を続けたビアトリクス、今だったら絶対に科学者として成功を収めていたはず。それでも、ピーターたちの世界に舵を切ったことで、こうして後世に名を残していることは喜ばしいような、皮肉なような。2021/08/28
イカまりこ
8
ピーターラビットの作者の人生を書いた絵本。1800年代、女性は学びたくても学校に通えなかった。ビアトリクスはキノコに興味を持って独自に研究していたそうだ。学会は男社会。論文を書いても認めてもらえない。10年そんな孤独な研究を続けたらしい。それから絵本作家へ。なぜ研究をやめたのか、詳しくは残っていないそう。「QEDホームズの真実」で真実でも文字にしたら物語になってしまうとあった。歪められて伝えられたくない思いがあったのかも、と彼女の気持ちを想像した。100年後、協会は女性研究者への不当な扱いを謝罪した。2023/10/19