目次
第1章 差別について(差別とはなにか;偏見とはなにか;嫌悪とはなにか;性的少数者はなぜ後ろめたいのか)
第2章 性別について(原型としての「男女」;性的少数者における性別;性別の変更について)
第3章 近代社会原理の再確認(近代社会思想の始まり;自由と平等について;民主主義について)
第4章 性的少数者と社会(特例法はいかに実現したか;性差否定としてのジェンダーフリー;政治的党派と性的少数者;同性婚について)
第5章 「対立の時代」から「和解の時代」へ(実存と社会;自分が変わる、世界が変わる;温故創新―新しい問題への対処)
著者等紹介
神名龍子[ジンナリュウコ]
1964年東京生まれ。MtFのトランスジェンダー。90年代初頭に日本初のトランス系ネットコミュニティ「EON」を創立。2003年「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」成立に携わる。土曜は新宿ゴールデン街で勤務。『トランスジェンダーの原理―社会と共に「自分」を生きるために』が初の著作となるが、SNSやブログでも自身の考えを積極的に発信し続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nobuoka
0
筆者は哲学を基礎においているトランス女性。 近代社会の原理を説明し、社会的な問題を解決するためにどう考えると良いのか、ということが書かれている書籍である。 特に近代社会の原理については、トランスジェンダーに関係なく現代社会で生きる人にとって意味のある内容だった。 本書は書名に 「トランスジェンダー」 を含んでいるけど、トランスジェンダーの人々が直面する問題などの具体・詳細にはさほど触れられないので、「トランスジェンダーについて詳しく知りたい」 という人には向かない内容ではある。2023/08/16
depo
0
図書館本。著者は、今回のLGBT理解増進法騒動をどう考えるのだろうか。2023/06/21
kumoi
0
ホームレス、性的少数者、身体障がい者に対する差別は、未だに根強く存在している。どうすればこれらの差別をなくすことができるのか。その答えは近代市民社会の原理にある。近代市民社会とは、社会を構成するすべての人の自由が相互に承認され、適切な競争が行われる社会である。社会運動は自らの思想を善とし、既存の秩序を悪とみなすが、こういう方法は社会の分断を免れない。ルソーが言っている通り、社会の正当性は一般意志にのみその根拠を持つ。社会運動が特殊意志の実現を目指す限り、そこに正当性など存在しない。2022/04/19