内容説明
地上は愉快でたくましい生存のスキルで満ちている！自然と人、それぞれの仕組みと事情のままならなさを受け入れ両者を橋渡しする“ランドスケープ的思考”という新しい道具。その使い方と楽しみ方をここに伝えよう。前方後円墳や平城京跡の観察から自宅の庭いじりまで、時間、スケール、事象を絶え間なく往還する“地上学”へ！
目次
１ ＦＡＢ‐Ｇ
２ 公園の夏
３ 農耕の解像度
４ 地形と移動
５ ベンチの攻撃
６ 土木への接近
７ 終わらない庭仕事
８ ランドスケープの思考
著者等紹介
石川初［イシカワハジメ］
１９６４年生まれ。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科／環境情報学部教授。登録ランドスケープ・アーキテクト（ＲＬＡ）。鹿島建設建築設計本部、Ｈｅｌｌｍｕｔｈ，Ｏｂａｔａ ａｎｄ Ｋａｓｓａｂａｕｍ Ｓａｉｎｔ Ｌｏｕｉｓ Ｐｌａｎｎｉｎｇ Ｇｒｏｕｐ、Ｋａｊｉｍａ Ｄｅｓｉｇｎランドスケープデザイン部、ランドスケープデザイン設計部を経て、２０１５年４月より現職。『今和次郎「日本の民家」再訪』にて、日本建築学会著作賞、日本生活学会今和次郎賞（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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ころこ
38
着想は、隈研吾『自然の建築』と似ています。風景を発見するというのは近代性の表れですが、構造物に設計者の固有名を付けるというのも近代的な行為といえます。制度により植栽を選定した固有名のある造園は、自然の回復などではなく、構造物の建築です。本書では、むしろ製作者は無名である園芸であったり、製作されたという事実を解釈することで、はじめて製作されたことが成立したりする、地上は人口物とも自然とも区別の付かない間にあります。これまで我々が制度として疑わなかったことを、場所を移動し、風景をみて考える。いや、もっと軽い感2019/07/14
田氏
13
ランドスケープとはなんぞや、を毫も知らない私だけれど、著者の石川先生のツイッターはずいぶん前からフォローしている。実生活では何一つ繋がりなんてないし、何かの折に偶々ツイートを見かけただけと記憶しているが、それが短いながらも新しい視点の発見をもたらすことに私は感銘を受けた、のだったと思う。たとえば本書で言えば、道路を交通経路としての線としてだけでなく、私有地と私有地との隙間を構成する「面」として捉えるとか。「異なるスケールで複数の文脈のなかで見る」という言葉も書かれている。これは、風景に哲学を与える目線だ。2019/02/21
Tenouji
12
スケール感の違いの間にこそ、人間的な工夫の余地が生まれる…非常に示唆的な読書でした。本質的には難しいことではなく、日常的に見逃している事柄、街や田園の風景、古墳、平城京、園芸活動などについて、それこそタモリクラブ的な視点で、街ブラしながらの観察。ただ、それを面白く感じるには、スケール感の違う視点が必要だと、明確に意識はしてなかったなぁ。ランドスケープという考え方がベースになっているけど、人間の変化する環境への適応していく様を、非常にうまくとらえていて、他人事（他業界の事）とは思えませんでしたｗ。2019/03/26
バーベナ
5
自分にGPSをつけてみる、猫にも付けてみる。こんな身近なところにも、行動の軌跡を辿るだけで、面白い発見があるのかと驚く。ぼけ～っと街歩きしているのも愉しいけれど、テーマがあると更に喜びがあるのね。2018/11/30
林克也
5
いま、大学で「土木」と名の付く学科は、ほとんど無いらしい。40年前、自分が大学生だったころを思うと、なんだかとても寂しい。でも、石川さん言うところのランドスケープ・アーキテクト、土木と建築と造園とその他諸々を総合的に考え、実行する仕事。こういう仕事、やりたかったなあ。60歳を目前にしてこんなこと思っても、仕方がないが。ところで、大学同級生でスーパー（ゼネコン）に行った者たち、今何やっているんだろうか。納得し、満足できる仕事をして来ただろうか。2018/09/12
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